新しい減塩食文化を目指す取り組み
神奈川県で、トイメディカル株式会社と株式会社グリーンハウスが連携し、革新的な減塩食の開発に乗り出しました。この取り組みは、県が推進する「ビジネスアクセラレーターかながわ (BAK)」の共創補助金プログラムに採択され、注目を集めています。
1. 背景と現状
日本は、世界的に見ても塩分の摂取量が高い国の一つです。神奈川県を含む全国平均では、食塩の摂取量が1日の目標値である7gを2〜3gも上回っています。塩分の過剰摂取は、高血圧や循環器系の疾患を引き起こし、その結果、医療費が膨大になるという深刻な問題を抱えています。特に高血圧性疾患にかかる医療費は、全国で1兆7,050億円に達しています。
従来の減塩対策では、「味が薄い」といった理由から、多くの人々が食事を楽しむことができず、その結果、減塩の意識が浸透しにくい状況が続いていました。そこで、トイメディカルとグリーンハウスが共創することによって、従来の減塩食とは異なる新たなアプローチを提案しようとしています。
2. 塩分オフセット技術とは
トイメディカルが開発した「塩分オフセット技術」は、海藻由来の食物繊維であるアルギン酸類を活用し、食事中の塩分(ナトリウム)を胃の中で吸着し、体に吸収させにくい形に変え、最終的には排出するという画期的な仕組みです。この方法により、味を損なうことなく実質的に減塩効果を得ることができるのです。また、カリウムを使用していないため、カリウム摂取に制限がある方でも安心して利用できます。
現在、この技術はサプリメントや調味料、スナック菓子などに使用されており、今後の共創プログラムを通じて、より多くの人が手に取りやすい形での展開が期待されています。
3. プロジェクトの意義
このプロジェクトでは、食事の味や満足感を保ちながら、健康的な食生活を実現するための新しい環境の構築を目指しています。こうした取り組みを通じ、健康寿命の延伸や未病対策に繋がる社会的な価値が生まれることが期待されます。また、地域社会の食文化の向上にも寄与することになるでしょう。
4. 神奈川県BAKについて
「ビジネスアクセラレーターかながわ(BAK)」は、県内の主要企業とベンチャー企業の連携を促進するために、多様なスタakeholderが参加するコミュニティを形成しています。これにより、オープンイノベーションが進み、新たな市場の開拓や商品開発に繋げることが狙いです。現在、このプログラムに参加する企業を随時募集中で、プロジェクトの成果は2026年3月に発表される予定です。
企業紹介
- - 株式会社グリーンハウスは、官公庁や病院、学校など幅広い分野でフードサービスを提供している企業です。2025年には年商1,837億円を予測しており、2,953店舗を展開しています。詳しくは、グリーンハウスの公式サイトをご覧ください。
- - トイメディカル株式会社は、熊本を拠点とする医療・健康食品メーカーで、主に塩分オフセット技術を基にした製品を開発しています。透析患者向けの製品や健康食品など、さまざまな商品を提供しています。
この取り組みを通じて、私たちの食生活がより健康を意識したものへと変化することが期待されます。彼らの挑戦は、多くの人々にとってより豊かで健康的な食の未来を作る希望となるでしょう。