箱根の名旅館「一の湯」が特別認定を受けた理由とは
箱根に位置する老舗温泉旅館「一の湯」が、神奈川県から地域の優れた企業として高く評価され、「神奈川がんばる企業エース2025」に再度認定されたことが発表されました。本記事では、その背景にはどのような取り組みがあったのか、また今後の計画について詳しく探っていきます。
395年の歴史を活かした改革
「一の湯」は、寛永7年、1630年に創業された老舗旅館であり、393年の歴史を誇ります。旅館としての伝統を守りつつも、現代のニーズに応えるための改革を実施しています。このたびの認定は、その革新性と地域資源の活用が評価された結果です。
1. 地域資源「湘南ゴールド」の有効活用
「一の湯」では、神奈川県特産の柑橘「湘南ゴールド」を取り入れた取り組みが行われています。具体的には、客室に湘南ゴールドを飾ることで季節感を演出し、地域の旬を楽しめるサービスを提供するなど、地域農家との連携が評価のポイントとなりました。さらに、規格外果実のリユースやリキュールの開発に取り組む姿勢も、大きな評価を受けています。
2. 「働きがい」の向上を目指す手当制度
接客従業員の働きがいを高めるために、箸袋にQRコードを設置して、お客様からの「ありがとう」の声を給与に反映する制度も導入されています。この取り組みにより、国籍や年齢にかかわらず、全てのスタッフが努力を正当に評価される環境が整い、「お客様の声がスタッフに届く」仕組みが確立されています。
3. 業務の効率化と標準化による運営改革
一の湯では盛付センターを設置し、調理の標準化を進めています。これにより、品質を維持しながら効率的な作業が行えるようになっています。旅館業界での人材不足が深刻化する中で、このような取り組みは業務の効率化につながり、さらなる評価を得るポイントとなりました。
今後のさらなる取り組み
「一の湯」は、受賞を契機にさまざまな新しい施策を展開する計画です。例えば、宿泊者向けには湘南ゴールドを使用した特別宿泊プランを販売することが決定しています。このプランでは、地域ならではの味わいを気軽に楽しむことができる内容となっており、価格は通常プランと同様です。
また、県内企業との連携を強化し、働く人々の心身のリフレッシュを支援する「福利厚生プラン」の導入も予定されています。このような取り組みを通じて、地域とともに成長していく姿勢が伺えます。
代表取締役社長のコメント
「一の湯」の代表取締役社長、小川尊也氏は、「2017年以来、再び“エース”として評価いただけたことを大変光栄に思います。創業395年の歴史に甘んじることなく、地域資源の活用、業務の標準化などに取り組んでまいりました。」と述べています。
会社概要
「一の湯」は、箱根に9施設、長野県に1施設を運営しており、「宿泊の常識を変える」をモットーに、新たな宿泊価値の創造に挑戦しています。2025年には新ブランドを開業する計画もあり、さらなる進化を続けていくことでしょう。