訪問看護教育支援の新たな連携
訪問看護の魅力は、その柔軟性と患者との密接な関係性にあります。近年、在宅医療が注目される中、東京大学のグローバルナーシングリサーチセンター(GNRC)と在宅医療支援機構が手を結び、訪問看護職の教育支援を強化する新たな取り組みを開始しました。
この連携の背景には、訪問看護業界が直面している深刻な人材不足の課題があります。近年の調査によれば、95.5%の訪問看護事業者が人材採用に悩んでおり、その中でも「研修・教育の不足」が35.1%を占めています。このような状況を受け、両機関は訪問看護のプロフェッショナル育成に力を入れることを決定しました。
GNRCのビジョンとリスキルプログラム
東京大学のGNRCは、日本で初めて誕生した看護学研究センターとして、子どもの頃からの看護職の養成や研究推進に力を入れています。少子高齢化が進む日本において、「治す医療」から「支える医療」へとシフトする中、訪問看護の重要性は増しています。このニーズを受け、GNRCは『介護職・看護職向けEnd-of-lifeケア(看取り)リスキルプログラム』を開発しました。
このプログラムでは、訪問看護師や介護職の方々が看取りケアを自信を持って行えるよう、具体的な技術や知識を提供します。また、プログラム受講者は研修前後にアンケートを通じて自らの成長を確認し、今後の研修内容の改善にも貢献します。
連携の詳細と今後の展望
今後の取り組みとして、2025年4月以降、在宅医療支援機構を通じて採用された訪問看護事業者は、このプログラムの恩恵を受けることができます。具体的には、在宅医療支援機構が提供する人材紹介サービスを活用し、対象となる事業者は無料でプログラムに参加することが可能です。ただし、無料アカウントには限りがあるため、事前に登録が必要となります。
今後、訪問看護業界の活性化に貢献するため、両機関は定期的に協議を行い、実際の現場のニーズに応じた施策を講じていきます。
在宅医療支援機構の企業情報
在宅医療支援機構は、2016年に設立され、訪問看護師の採用から教育支援までをトータルで支援する会社です。帝人株式会社の完全子会社となり、訪問看護師の確保と定着を図るための事業に取組み、地域包括ケアの推進を目指しています。
私たちの社会が、地域に根ざした在宅医療を受けることができるよう、これからの取り組みにもぜひ注目していただきたいと思います。