脳ドックの進化: 白質病変のリスク層別化で予防医療が新たな局面へ
株式会社ユカリアと横浜市立大学が連携し、全国の脳ドック受診者のデータを基に新たな成果を上げました。受診者数が16万件を超える「スマート脳ドック」のデータ解析から、脳の老化に伴うサインである「白質病変」の進行リスクを年齢や高血圧の有無によって層別化し、最適な再受診間隔を導き出したのです。この成果は、2026年5月に開催される「第35回日本脳ドック学会総会」での発表が予定されています。
これまで、脳ドックの受診開始年齢や再受診の間隔について明確な指針が不足していました。しかし、ユカリアは2018年から蓄積した287施設のデータを活用し、この状況を改善しました。この研究により、脳ドックは「受けるかどうか」の任意の検査から、「いつ、どのくらいの間隔で受けるか」という積極的な受診が推奨される検査へと進化しました。これにより、認知症や脳卒中の予防医療の重要性が増すことが期待されます。
近年、白質病変を含む脳小血管病が認知機能の低下や脳卒中のリスクマーカーとして再評価されています。MRIスクリーニングの意義は、疾患の発見からリスクの層別化と予防介入へとシフトしています。今後、ユカリアは横浜市立大学と連携し、蓄積したデータを現場に還元することで、認知症や脳卒中の予防に向けた新たなスタンダードを確立することを目指しています。
学会発表の詳細
今回の研究成果は「第35回日本脳ドック学会総会」で報告されます。学会は2026年5月29日から30日にかけて東京で開催され、シンポジウム12での発表が予定されています。
- - 演題: S12-1「全国16万件脳ドック解析に基づく白質病変リスク評価と受診戦略 ─受診推奨年齢と再受診間隔の最適化─」
- - 演者: 大竹 誠(横浜市立大学)ほか
スマート脳ドックとは?
「スマート脳ドック」は、医療機関のMRIやCTの非稼働時間を利用し、全国の消費者が手頃な価格で迅速に受診できるサービスです。主に脳動脈瘤や脳腫瘍の早期発見を目的としており、事前に予約し、問診もウェブ上で完了できるため、受診の手間が大幅に軽減されています。検査時間も短縮され、一般的に約30分で結果を確認できるのが特長です。繊細な画像解析は専門の医師によるダブルチェックを受け、異常があった場合には適切な専門機関への紹介も行われます。
検査料金は税込24,750円で、多くの人にとって利用しやすい価格設定がされています。2026年4月時点で17.6万件の検査を達成し、330の医療施設で導入されています。
共同研究の背景
この研究は、ユカリアと横浜市立大学が2025年に締結した共同研究契約に基づいて行われました。倫理面にも配慮し、個人を特定できないデータを使用して進められています。研究責任者である横浜市立大学の主任教授は、「脳画像データを用いた包括的疫学研究および画像解析機械学習システムの構築」を進め、新たな医学のスタンダードを目指しています。
横浜市立大学について
横浜市立大学は5学部、6研究科を持つ総合大学で、横浜の国際都市として教育、研究、医療分野のリーダーシップを担っています。今後も地域社会に貢献し、進化していくことが期待されます。
ユカリアのビジョン
ユカリアは、医療と介護の未来を見据え、さまざまな変革を通じて「ヘルスケアの産業化」を実現することを目指しています。患者中心の医療の推進に力を入れ、地域包括モデルやDX化への取り組みも進めています。