次世代光通信技術の最前線
2025年9月28日から10月2日、デンマークのコペンハーゲンで開催される光通信分野における国際会議「ECOC 2025」。この国際的な舞台で、アンリツ株式会社がマルチコア光ファイバの品質評価ソリューションを披露します。マルチコア光ファイバは、従来の光ファイバに比べて大容量でのデータ伝送を可能とする新たな技術として注目を集めています。
マルチコア光ファイバの利点と課題
今日、AIやクラウドサービスの普及に伴って、光通信の需要は急増しています。従来型のシングルモード光ファイバでは、光を伝送するコアが一つしかないため、伝送容量には限界があります。この問題を解決するために、複数のコアを有するマルチコア光ファイバが誕生しました。
特に、コア間の干渉を抑えた「弱結合型マルチコア光ファイバ」は、信号品質を安定させながら容量を大幅に向上させるという利点があります。しかし、この技術を実用化するためには、コア間クロストークをはじめとする信号の干渉要因をしっかりと評価し、解析する必要があります。
アンリツの新しい評価法
今回のアンリツの展示では、4コアの弱結合型マルチコア光ファイバを用いた実証実験が行われます。展示される装置は、マルチチャネルOTDR方式を使用し、約20kmの光ファイバ2本の伝送損失や反射減衰量、さらにはコア間クロストークの分布を可視化することが可能です。これにより、接続点での信号の変化をリアルタイムで把握できます。
研究開発への貢献
このソリューションの導入により、特に劣化箇所の特定が容易になり、フィールドテストでの条件最適化に寄与します。従来の方法では、ファイバを接続し直さなければ評価できなかった全てのコアの品質を一度に評価できるため、検査の効率化にも大きく貢献します。
未来に向けた取り組み
アンリツは、次世代光通信技術の発展に向けて、マルチコア光ファイバの製造と研究開発を積極的にサポートし続けます。これにより、社会実装へ向けた一層の貢献を目指しています。
展示情報
アンリツの展示は、ECOC 2025のスタンドC4335,MR27にて行われます。光通信の未来を支える最新のソリューションを、ぜひ現地でご確認ください。アンリツの最新情報は、Facebookでもご覧いただけます。
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用語解説
コア間クロストーク
マルチコア光ファイバ内で、あるコアの光信号が隣接するコアに漏れ出し、他のコアの信号と干渉する現象です。クロストークが増えると、信号対雑音比が悪化し、通信の質が著しく低下します。これを解決することで、安定した通信環境が実現されます。