新刊『江戸を支えた神奈川──流通・産業・観光』が登場
2025年12月15日、株式会社有隣堂から新たな歴史書『江戸を支えた神奈川──流通・産業・観光』が発刊されます。この作品は、近世史と江戸文化を専門とする歴史家の安藤優一郎氏によるものです。本書は、江戸時代以降における神奈川県の歴史的役割を再考し、思わず手に取りたくなる内容となっています。
神奈川の再評価
長らく、神奈川は江戸時代において「政治の中心から外れた地方」として理解されてきました。しかし、本書ではその常識に挑戦し、実は江戸の経済や文化の重要な支えとなっていた神奈川県の多面的な顔を垣間見ることができます。人口が百万人を超える大都市・江戸の繁栄は、地域の人々の努力によって築かれたものであり、その背景に迫る内容が展開されます。
著者の安藤氏は、1600年代から1800年代の260年間を通して、家康による江戸の発展が神奈川に与えた影響とその結果、地域の流通・産業・観光がどのように江戸と相互作用したかを綿密に描いています。その中で、神奈川の重要性を明らかにする一方で、武士階級だけでなく、庶民の生活や活動にスポットを当てる新鮮な視点も提供します。
目次を通じての探訪
本書は以下のような目次で構成されています:
1. 家康の江戸入城と周辺地域の再編
2. 江戸との流通を支えた神奈川の水陸交通網
3. 江戸の生活を支えた神奈川の地域産業
4. 江戸で活躍し、将軍の生活を支えた神奈川の商人、農民、漁民
5. 江戸からの観光客で賑わった神奈川の観光地
6. 幕末の江戸と神奈川
各章では、例えば東海道に沿った宿駅制度や水運、海運の発展、そして観光地としての神奈川の役割など、さまざまな切り口から江戸と神奈川の関係を詳述します。特に、庶民がどのように江戸経済を支えていたのか、そしてその活動が現在の神奈川の姿にどのように繋がっているのかが解き明かされます。
庶民視点の重要性
通常の歴史書であれば、政治や武士の視点が中心に据えられがちですが、本書は農民や商人、漁民の活躍にも焦点を当てています。これにより、神奈川は単なる郊外の一地域ではなく、江戸経済圏の重要な中心地であったことが強調されています。著者は、彼の研究知識だけでなく、地域の人々のストーリーを通して、神奈川の歴史の新たな側面を探求しています。
安藤優一郎氏のプロフィール
安藤優一郎氏は1965年千葉県に生まれ、歴史研究家としての道を歩んできました。早稲田大学で文学博士の学位を取得し、さまざまな生涯学習講座にも携わっています。彼の著書には、多数の歴史的テーマについて扱ったものがあり、そのいずれも読み応えがあります。
新刊の発売情報
新書として出版される本書『江戸を支えた神奈川──流通・産業・観光』は、256ページで、税込価格は1,430円。12月15日から、有隣堂各店や全国の書店での取り扱いが始まりますので、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。江戸時代の神奈川を今一度見直す絶好の機会となることでしょう。歴史好きの方は必見の一冊です。