不動産市場に新たな風を吹き込む取り組み
2023年5月23日、積水化学工業株式会社は首都圏で主に不動産業を展開する「株式会社ベンハウス」の全株式を取得する契約を締結しました。この動きは、中期経営計画「Drive2.0 -The 2nd phase for 2030-」に基づき、レジデンシャル事業やリフォーム事業へさらにリソースを投入し、成長を加速させるための重要な一歩と位置づけられています。
新たな協業の背景
日本全体では人口が減少していますが、特に東京を中心とした大都市圏では人口が増加傾向にあります。この状況下では、住宅や住宅用地の安定的な供給が求められています。しかしながら、積水化学の鉄骨ユニット住宅は、全国的には高いシェアを誇りますが、首都圏においてはあまり高くないのが現状です。
また、子育て世帯の選択肢は大きく変化し、郊外の一戸建てから利便性の高いマンションなどへと移行していることが増えています。このような市場環境の変化に伴い、安定した住宅供給ができるパートナーの必要性が高まっています。そこで、横浜市・川崎市・湘南エリア・東京23区を焦点に地元で広く実績を持つベンハウスとの連携が選ばれたのです。ベンハウスは、土地の仕入れから住宅用地の造成、販売までトータルで展開している不動産会社であり、そのノウハウが積水化学にとって大きな魅力です。
期待されるシナジー効果
今回の連携によって、以下の三つの主要な効果が期待されています。
1.
販売面での効果
住宅用地の特性に応じて、積水化学のユニット工法とベンハウスの木造軸組工法をうまく使い分けることで、より効率的な販売ネットワークを形成できると考えられています。
2.
施工面での効果
両社の施工技術を共有することで、職人不足への対応や施工スケジュールの平準化が図れるでしょう。
3.
賃貸管理面での効果
ベンハウスが持つ豊富な賃貸管理ノウハウを活かして、当社グループの施工物件だけでなく一般建築物の賃貸管理事業も拡大していく予定です。
両社間の人材交流や双方向のコミュニケーションを重視しつつ、パートナーシップを強化していく考えも示されています。
今後の展望
積水化学は、2030年に向けたサステナブルな社会の実現に向けた取り組みの一環として、この新たな戦略を推進します。現在、日本の住宅市場は大きな変革期を迎えていますが、今後の2025年にはベンハウスの株式譲受を予定しており、さらなるビジネス拡大が期待されています。
積水化学が進めるこの取り組みは、不動産領域におけるプレゼンスを高めることはもちろん、社会課題の解決にも貢献することを目指しています。サステナブルな未来を見据えたパートナーシップが、今後の不動産市場をどのように変革していくのか、注目の動きです。