銅版画の魅力を再発見!茅ヶ崎市美術館の特別展
茅ヶ崎市美術館で、銅版画界の巨星・菅野陽と浜田知明にスポットを当てた特別展が開催されることが決まりました。この展覧会では、戦後の日本における銅版画の熱気を体感できる貴重な機会です。
銅版画の黎明期を支えた二人のアーティスト
1950年代、日本で銅版画に挑むアーティストの数が急増しました。この時期に、新しい技法を探求し、自己表現を追求した作家の一人が菅野陽です。彼は、複雑に絡み合う線と面の組み合わせで「人体」に焦点を当てた作品を多く制作。この展覧会では、茅ヶ崎にゆかりのある彼の作品を多数展示し、その独特なスタイルを間近で堪能することができます。
一方、浜田知明は戦争体験を背景に1950年から銅版画に取り組み始めました。特に彼の『初年兵哀歌』シリーズは、当時の社会や自らの経験をユーモラスに描いたもので、国内外で高く評価されています。彼の作品は、現状に対する問いかけが込められた深みのあるものばかりです。本展は、両者の活動の交わりが生んだ銅版画の夜明け前の関係性を曇りなく描かれたものとなるでしょう。
作品の見どころ
この展覧会においては、特に以下のポイントが見逃せません。
- - 菅野作品が一堂に集結: この機会に、菅野陽の作品が一堂に揃うのは16年ぶり。独特の線の美しさと、絵の中に呼び込まれるような影やリズムの堪能をお楽しみください。
- - 初公開の浜田の挿画: 新たに寄贈された『矢崎節夫童謡集ぼくがいないとき』の挿画が修復を終え、展覧会にて初公開されます。浜田の珍しいペン画も必見です。
銅版画の歴史を紐解く
菅野陽は日本画を学んだ後、戦後に銅版画に目覚め、作品制作の傍ら、銅版画史の研究者としても名を馳せました。彼の作品は複雑でありながらも、魂を表現したもの。彼の晩年は茅ヶ崎に過ごしました。
浜田知明は、大学卒業後に銅版画を本格的に学び、戦争体験を基にした作品を発表し、後に彫刻にも活動の場を広げました。今展では、彼の多様なアートを紹介します。
体験型イベントの開催
展覧会期間中は、一般Yの方々も楽しめる講演会やギャラリートークが実施されます。特に、1月31日の講演会では、美術史家の水沢勉が「版が宿すひかりとかげ」について語ります。また、特に教育者向けの文化芸術教育プログラムも豊富に用意されていますので、ぜひご活用ください。
開催概要
- - 会期: 2025年12月13日(土)-2026年2月23日(月・祝)
- - 会場: 茅ヶ崎市美術館展示室1
- - 料金: 一般400円 (20名以上団体300円)、大学生200円 (100円)、市内在住65歳以上200円 (150円)。高校生以下及び障がい者とその介護者は無料。
- - 休館日: 月曜日(ただし2026年1月12日、2月23日は開館)。
ぜひ、この機会に戦後銅版画界の息吹を感じに、茅ヶ崎市美術館へ足を運んでみてはいかがでしょうか。銅版画の奥深い世界に浸る特別な時間をお楽しみください。