那覇市で救急搬送支援システム「Nser-NET」導入、医療サービスを進化
那覇市が2025年4月から、TXP Medicalの「NSER mobile」を採用した救急搬送支援システム「Nser-NET」の本運用を開始します。このシステムの導入により、救急搬送が困難な事例の解消を目指し、エビデンスに基づく政策立案(EBPM)を推進します。これにより、救急隊が作成していた二重作業が解消され、ペーパーレス化が実現されるため、業務の効率化と医療機関とのデジタルデータのスムーズな引き継ぎが可能となります。
背景
近年、那覇市において救急出動件数が増加しており、全救急隊が出動していながらも新たな要請に応じられない「保留事案」や、現場滞在が30分以上かつ病院への照会が4回以上必要となる「救急搬送困難事案」が課題となっています。そのため、市内の救急隊の業務負担が増加し、休息の時間すら確保できない状況が続いていました。
このような状況を受けて、2024年4月16日から5月27日まで、那覇市消防局全7隊と県内外8カ所の医療機関で「NSER mobile」を使用した実証実験が行われました。その結果、現場活動時間の短縮、病院紹介時間の短縮、受け入れ医療機関での作業効率の向上が確認され、実証からわずか10ヶ月での本導入となりました。また、同時にOAシステムとの連携も開始し、事務作業が大幅に効率化される見込みです。
運用内容
「Nser-NET」では、各救急隊にNSER mobileのタブレット端末が配備され、医療機関とのデジタル情報のやり取りを通じて救急搬送が行われます。対象エリアにある医療機関は、NSER mobileからの情報を端末で受信し、迅速かつ正確な対応が可能になります。これにより、市民にはより迅速な救急サービスが提供されることが期待されます。
期待される効果
1.
市民サービスの向上
救急活動時間の短縮による早期搬送の実現や、保留事案の減少が期待されます。
2.
救急隊の業務効率化
手書きの記録票やOA入力の報告書のデジタル化が進み、二重作業の解消により業務負担が軽減されるはずです。
「NSER mobile」の特徴
このシステムは、救急現場と搬送先医療機関の間でのスムーズなコミュニケーションを実現し、救急対応の効率化に寄与します。救急車内に設置されたタブレットが患者情報を収集し、迅速に搬送先の病院に送信されることで、病院が受け入れの準備を整えることが容易になります。従来は電話や紙の帳票が中心でしたが、デジタル化により情報の視覚化が進み、救急搬送の効果的な改善が期待されています。
今後、那覇市では事案情報の入力に加え、病歴やバイタルサイン、静止画・動画の共有、過去の応需履歴、事後検証機能、OAとの連携機能など、救急医療における多様なデータプラットフォームとしての機能を段階的に強化していく予定です。これにより、患者の救急搬送から報告書作成業務、さらには検証業務に至るまで、ワンストップでデジタル管理が実現され、最適な救急医療サービスの提供が可能になります。
このプレスリリースは、同日那覇市からも発表されており、今後の展開に注目が集まっています。
TXP Medicalについて
TXP Medicalは「医療データで命を救う」を掲げる企業で、現役の救急集中治療医が立ち上げた次世代の医療インフラを提供するスタートアップです。基幹システムであるNEXT Stage ERは全国の79の大病院で運用されており、救急隊向けのNSER mobileは41地域で1000万人以上の患者をカバーしています。今後もTXP Medicalは、急性期医療データプラットフォームやAI技術の開発を進め、より良い医療サービスの実現を目指しています。