PRISM BioLabとTalus Bioscienceが提携
神奈川県藤沢市に本社を構える株式会社PRISM BioLabは、米国ワシントン州シアトルに本社を置くTalus Bioscience, Inc.と共同研究契約を締結しました。この提携の目的は、転写因子(Transcription Factors, TF)及びタンパク質/タンパク質間相互作用(Protein-Protein Interaction, PPI)に対する新たな阻害剤の探索です。両社が持つ技術を融合させることで、難易度の高い創薬分野において強力な地位を築くことを目指しています。
共同研究の内容
その契約に基づき、PRISMは独自のPPI低分子ライブラリーを用い、Talus Bioの革新的なAI技術によってレギュロームプロファイリングスクリーニングを実施します。このプロセスにより、高価値なTFおよびPPIターゲットに対する新規化合物の同定とその最適化を行う計画です。両社の協力の下、ヒト細胞内で直接的にTFやPPIの機能効果を示す新しい医薬品の候補を生み出すことを目指しています。
研究開発にかかる費用は両社が共同で負担し、得られた成果を基に作成された医薬品候補のライセンスアウトや商業化の際には、それぞれの合意に基づく比率で利益を分配します。
重要な一歩
この提携は、TFやPPIに対する創薬において、体系的かつスケーラブルなアプローチを確立するため、両社にとって非常に重要な一歩となります。これにより、長年にわたり創薬が困難とされてきたメカニズムを解明し、それに対して調節可能な統合プラットフォームの構築を目指します。特に、PRISMが開発した「PepMetics®技術」とTalus Bioのレギュロームプロファイリング技術を組み合わせることで、これまで「創薬不可能」と言われてきた標的に対する治療法の可能性が大きく広がると期待されています。
コメント
Talus BioscienceのCEO、Alex Federation博士は、「この協業は、従来の創薬では攻略できなかった標的に挑戦する前例のない機会を与えてくれます。PRISMのPPI創薬技術をTalus BioのレギュロームプロファイリングとAIモデルに統合することで、化合物がヒト細胞内の転写ネットワークをリアルタイムでどのように再構築するかを可視化できます。」と述べています。
一方、PRISM BioLabの代表取締役である竹原大氏は、「このエキサイティングなプロジェクトをTalus Bioと進められることを大変嬉しく思います。私たちの技術を組み合わせることで、従来“創薬不可能”とされてきたPFIやTFに対する多数の阻害剤を見つけ出し、新たな治療薬開発の道を切り拓けると確信しています。」とコメントしています。
Talus BioscienceとPRISM BioLabの概要
Talus Bioscienceは、2020年に設立され、レギュロームを創薬に活用する企業です。彼らのプラットフォームは、ヒト細胞内で直接転写因子やDNA制御因子のデータを生成し、従来の創薬が困難だった標的への新たなアプローチを提供します。
一方、PRISM BioLabは従来のタンパク質間相互作用の制御に特化し、がんや線維症治療のための新薬開発を目指しています。両社の強みを活かした革新的な共同研究が、今後の医薬品開発の新たな潮流を生み出すことが期待されます。