TICAD 9での商船三井の挑戦とアフリカ事業の未来
2025年8月20日から22日、横浜のパシフィコで開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)は、アフリカとの関係強化を目的にした重要なイベントです。商船三井は、3回目の参加となるこの機会に、アフリカにおける多彩な取り組みを紹介しました。特に注目を集めたのがアフリカ関連のビジネスがいかに成長しているかを示す数々のプロジェクトです。
アフリカの持続可能な成長を支える取り組み
商船三井は、展示ブースでのプロジェクト紹介に加え、各種セッションにも参加しました。ここで彼らの目指すアフリカでの持続可能な成長を支えるための戦略やビジョンが明らかにされました。
1.
インド洋・アフリカ経済圏フォーラムでは、副社長執行役員の篠田敏暢がアフリカ事業の現状とパートナー戦略を共有し、地域の経済的な課題に対する見解を述べました。アフリカ経済が拡大する中、特に重要な課題であるインフラ面や地政学的リスクについて議論が交わされました。
2.
LNG発電船事業とロジスティクスを組み合わせたセッションでは、電力インフラの未整備や気候変動の影響に対処するための新しいモデルの提案がありました。人口増加に伴う電力の需要を満たし、持続可能な社会の実現を目指すしっかりとしたビジョンが示されました。
3.
ヘルスケア物流ハブの構想も印象的です。商船三井は、ケニアのモンバサにおいて医療物流拠点を設立する計画を発表し、非効率な流通を改善することを目指しています。この取り組みは、地域における医療のアクセス向上に寄与することが期待されています。
4.
グリーン水素の産業化に関するパネルディスカッションでは、専務執行役員の梅村尚がアフリカでのグリーン水素の利用に関するビジョンを提案し、今後の展望を示しました。
MOUの締結と今後の展開
TICAD 9の会期中、商船三井は5つのアフリカ関連プロジェクトに関してMOUを締結しました。これにより、アフリカにおける事業の拡大に向けた強固なパートナーシップが築かれることとなります。
- - インド・アフリカ間の自動車商流での協業
- - シャープ製の太陽光パネルの国際人道機関への設置
- - アフリカでのインフラプロジェクト共同開発
- - ヘルスケア物流開発に関する協業
これらの取り組みを通じ、商船三井はアフリカ地域での存在感を一層強めていく所存です。
持続可能な未来の創造
商船三井は、1926年に日本とアフリカ東岸を結ぶ定期航路を初めて開設し、近年ではアフリカのモザンビークや南アフリカ、ケニアなどに拠点を設立しました。現在は海上輸送に留まらず、物流事業にも注力し、持続可能な社会の実現に向けての取り組みを加速させています。
TICAD 9での成果を最大限に活用し、商船三井は新興国地域での事業推進に一層注力することで、アフリカにおける物流事業などの新規開拓を進めていくことでしょう。アフリカ開発に向けた長期的なビジョンを掲げる商船三井の今後の動向に注目です。