介護現場の新しい試み、「TANO+」の実証実験結果を紹介!
高齢者の健康維持と自立支援を目指し、HITOWAケアサービスとTANOTECHが共同で行った「TANO+」の実証実験の結果が発表されました。この実験は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けており、介護現場における新しい技術の可能性を探る重要な一歩となりました。
実施背景と目的
HITOWAケアサービスは、全国に144の有料老人ホーム「イリーゼ」を展開しており、利用者の生活の質を向上させるための取り組みに注力しています。一方、TANOTECH社は、介護現場での負担軽減を目指して「TANO」というモーショントレーニングツールを開発しました。この「TANO」に新たな機能を加えた「TANO+」を用いて、ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)機能の向上やフレイル予防について検証したのが今回の実証実験です。
具体的な実施内容
実験は、2023年の11月から12月にかけて、HITOWAケアサービスが運営する「イリーゼ横浜旭」で行われました。65歳以上の高齢者22名を対象に、「TANO+」を使ったレクリエーション運動を、週に1~3回、30分間実施しました。これにより、運動前後での身体機能の変化を測定しました。
実験結果
結果として、特に「運動機能(足腰)」や「口腔機能(舌の動き)」において有意な改善が認められました。「5回立ち上がりテスト」では、参加者12名のうち、最初の22.9秒から13.6秒へと動作時間が大幅に短縮されました。また、「タ」の発声回数も、参加前の13.1回から20.4回へと増加し、運動量を自動調整するゲームによってさまざまな疾患を持つ方々でも楽しんで参加できる環境が整備されていることが示されました。
ゲーム性とコミュニティ形成
「TANO+」は、単に肉体的なトレーニングを目的とするのではなく、ゲームの要素を取り入れることで、参加者が楽しみながら自発的に運動に取り組むことができるように設計されています。特に、遠隔参加者とも繋がりを持ちながら、コミュニケーションを促進する環境が整うことで、運動習慣の形成を支援します。
今後の展望
HITOWAケアサービスは、今後も実証実験の結果を基に、「TANO」が使いやすく、効果的な形に進化していくよう、TANOTECH社と協力を進めていく意向を示しています。今後、司会役や応援役を担うロボットの導入や、新しいコミュニケーションの場を提供することにより、さらなる介護者の負担軽減も達成できることを目指しています。
まとめ
今回の実証実験は、介護現場に新しい風を吹き込むものであり、高齢者の自立支援や健康維持に向けた大きな前進といえます。「TANO+」の取り組みが今後どのように発展し、多くの高齢者の生活の質向上へとつながるのか、注目が集まります。