実験動物モニタリングに革命をもたらすAI技術
ジャクソン・ラボラトリー・ジャパン株式会社は、Avidity Science株式会社と連携し、最先端のAI技術を取り入れた実験動物のモニタリングシステムを国内で展開します。この新しいシステムは、実験動物の行動や生理データをリアルタイムで可視化することができる革新的なソリューションです。
背景:実験動物研究の新時代へ
従来、実験動物の行動や健康状態の観察は、研究者による手動の記録が主体であり、観察が難しい夜間や、人的な主観がデータに影響するなどの課題がありました。これらの課題に応えるため、3Rs原則(Replacement, Reduction, Refinement)が重要視され、非侵襲的なデータ取得とAIによる定量的評価が求められています。導入されたこの新システムは、カメラによる高精度な記録を行い、利用者に客観的かつ再現性の高い研究データを提供します。
製品の仕組み:AIが行動を捉える
この新システムは、米国Allentown社が供給する「Discovery™」というIndividual Ventilation Cabinet(IVC)と、ジャクソン研究所の「Envision™」ソフトウェアを統合しています。具体的には、高感度カメラが常時動物を撮影し、その映像データをAIが解析します。運動量や摂食、飲水、呼吸数、さらには睡眠パターンやてんかん発作の兆候などが詳細にモニタリングされることで、ことさらに非侵襲的かつ自然な行動を妨げない形での観察が可能です。また、収集されたデータはクラウドに保存され、効率的にチーム間で共有や解析が行えるため、多拠点での研究にも対応しています。
主要な機能と特長
このシステムはさまざまな特長を備えており、主なものには以下が含まれます:
- - AIによる自動行動解析:活動状態や休息、摂食、飲水、呼吸パターンを高精度で分類します。
- - 非侵襲・連続モニタリング:24時間年中無休で動物を観察し、自然な行動を損なうことはありません。
- - クラウドベースのデータ管理:データの保存、共有、解析の機能を充実させ、業務の効率化を図ります。
- - 開発者向け環境の整備:R StudioやJupyterとの連携により、ユーザーが独自の分析指標を構築することも可能です。
- - 動物福祉への配慮:給餌や給水の自動監視機能により、人的介入を最小化し動物福祉を守ります。
国内の展開とサポート体制
ジャクソン・ラボラトリー・ジャパンとAvidity Scienceは、製薬企業やCRO、大学などの研究機関と協力し、実験動物研究の効率化及び動物福祉の向上を目指しています。ジャクソン・ラボラトリーはEnvision™ソフトウェアとDiscovery™ IVCの一体的な提案を行い、Avidity Scienceは納品から設置、技術サポートまでを手掛けます。
この革新技術は、実験動物研究に新たな道を開くものとして、多くの研究者にとっての強力な助けとなるでしょう。今後の展開が非常に楽しみです。