アートとテクノロジーが生み出す観光マーケティングの新たな試み
2025年11月2日、岡山大学が玉野市と協力して観光客向けのアンケートの回収率を向上させる新たなプロジェクトが始動しました。この取り組みは、アートとテクノロジーを融合させ、多くの観光客に参加を促す仕組みを目指しています。
取り組みの背景と目的
玉野市は、毎年開催される瀬戸内国際芸術祭が実施される地域ですが、観光客によるアンケート回答率が思うように伸び悩んでいました。そこで、地元の魅力を最大限に引き出すと同時に、観光客が楽しんでアンケートに答えることができる環境を整えることが本プロジェクトの主な目的となっています。
この取り組みは、5月に開催された「Match Up vol.3」と呼ばれるオープンイノベーションイベントでの出会いがきっかけとなり、岡山大学を中心に地域、企業、学生ベンチャーが連携する形で実現しました。これにより、新しいアイデアや商品が次々と生まれ、観光客の意見を集める新たな手法が開発されました。
新商品「パックポン」とトイカプセルの導入
プロジェクトの一環として、石塚王子ペーパーパッケージング株式会社が開発したエコパッケージ「パックポン」が登場しました。これは牛乳パックを再利用した環境に優しい製品で、デザインは玉野市のアーティストが手掛けています。この「パックポン」は、観光客がアンケートに答えた際のノベルティとして提供され、トイカプセルマシンから出てくる仕組みになっています。
さらに、この取り組みには遊び心が満載です。観光客がタブレットを通じてアンケートに回答すると、自動的にコインが発行され、そのコインでトイカプセルマシンを回すことができる仕組みが取り入れられています。このアイデアは、岡山大学のベンチャー企業、株式会社MOSAdemyの協力によって実現しました。
回答率の劇的な向上
このような楽しさを取り入れることで、玉野市の宇野駅に設置されたトイカプセルマシンを利用する観光客は大幅に増加しています。また、アンケート回答数も従来よりも大きく上昇しています。これによって、地域との関係構築や観光業の活性化が進んでいます。
環境負荷の見える化と地域産業のイノベーション
さらに、環境への配慮も忘れないこのプロジェクトでは、岡山大学の天王寺谷准教授が率いる研究室が「パックポン」のカーボンフットプリント(CFP)を算定する活動も行っています。これにより、環境負荷を見える化し、地域産業のイノベーションを促進するモデルとしても注目を集めています。
OI-Startのプラットフォームが生む新たな価値
岡山大学が中心となる「おかやまデジタルイノベーション創出プラットフォーム(OI-Start)」を通して、大学、地域、企業、学生ベンチャーが協力し合う姿勢は、偶発的な出会いや「セレンディピティ」を生む場ともなっています。このような動きからは、新たな価値がどんどんと生み出されています。
岡山大学は、地域の課題解決に向けてこのような小さなイノベーションを積み重ね、さらなる貢献を目指しています。地域との連携を通じて、新たな未来を切り拓く取り組みは今後も続けられていくことでしょう。