様々な表情を持つ人形たち
横浜人形の家で、2025年12月9日から2026年5月24日まで、重要無形文化財保持者の平田郷陽による常設コーナー展示「平田郷陽 その心と技」が実施されます。この展示では、郷陽の制作した人形作品全17点が一堂に披露され、その圧倒的な造形力と感情を映し出す作品群を間近で観賞することができます。
平田郷陽の生涯と業績
郷陽は1903年に生まれ、1981年に亡くなるまでの約50年間、人形制作を通じて日本の伝統文化を発展させてきました。彼は、大正末から昭和初期にかけて、自身の父から受け継いだ生人形の制作技術を基に、多様な作品を生み出しました。特に昭和10年代には人形芸術運動の先導的な存在となり、その経緯を経て、昭和20年代には写実的表現から離れ、より象徴的な様式に移行します。
彼の作品は、従来の枠を超えて内面的な心情を捉えたものが多く、後進の育成にも力を注ぎながら、技術の進化に挑戦し続けた姿が伺えます。
作品の見どころ
展示される作品の中でも初期の代表作「粧ひ」は、郷陽の技術と表現力が極まった作品として知られています。また、昭和30年代以降には「端午」や「戯れ」といった作品があり、どれもがその時代を映し出しつつ、郷陽の独特な美意識を反映した表情豊かな人形たちです。
入館料は大人400円、小中学生200円で、未就学児は無料。特別な展示だけあって、入館料のみでこれらの素晴らしい作品を楽しむことができます。また、障がい者手帳を持っている方々とその介護者一名も無料で入館可能です。
ギャラリートークの案内
さらに、ギャラリートークが開催されます。これは、担当学芸員による展示解説で、参加は無料。ただし、当日の入館チケットが必要です。日時は2025年12月14日、2026年1月11日、2月8日、3月4日、3月29日と定期的に行われ、各回11:00と15:00に会場で実施されます。事前の予約は不要ですので、直接会場にお越しください。
展示予定作品
展示される全17点の作品は、以下の通りです。
- - 「泣く児」「這い児」「熟柿」「日射し」「児と女房(ことにょうぼう)」
- - 「粧ひ(よそおひ)」「児戯興趣(じぎこうしゅ)」「小雀」「明月」「夢」
- - 「戯れ」「花」「熟柿(じゅくし)」「獅子遊び」「竹馬」「端午」「凧」
これら様々な作品が、郷陽の深い感情と技術の結晶を伝えています。人形を通じて彼の心と技を感じる貴重な機会に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。