ファンケルが発見した肌の老化を抑える成分
株式会社ファンケルは、肌のシワやたるみを防ぐために特定の成分に着目し、その効果を実証しました。その主役となるのが、マイクロRNAの一種であるmiR-365aです。この研究は、皮膚に存在する脂肪由来の間葉系幹細胞(ADSCs)から分泌されるエクソソームに焦点を当てています。エクソソームには、細胞間の情報伝達や機能維持に重要な役割を果たす成分が含まれており、特にこのエクソソームに多く含まれるmiR-365aが、肌老化の抑制に寄与することが明らかになったのです。
miR-365aの重要性
研究チームは、老化と若齢のそれぞれの線維芽細胞を比較し、miR-365aの発現量を確認しました。その結果、老化細胞ではmiR-365aの含有量が減少していることがわかりました。老化細胞にmiR-365aを導入すると、老化マーカーの減少が見られ、老化を防ぐ効果の可能性が示唆されました。これにより、miR-365aが細胞内で増加することが老化抑制に役立つことが証明されました。
ヤギミルク由来エクソソームの特性
ファンケルは、miR-365aを有効活用するために、ヤギミルク由来のエクソソームに着目しました。ヤギミルクはエクソソームが豊富で、抗炎症作用も報告されています。このため、抗老化化粧品の素材として非常に有望視されています。まずヤギミルク由来のエクソソームを抽出し、3ロットでのmiR-365a含量の均一性が確認されました。その後、老齢細胞にこれらエクソソームが取り込まれることを確認し、細胞内にmiR-365aが増加していることがわかりました。
コラーゲンとエラスチンの生成を促進
続いて、ヤギミルク由来のエクソソームがコラーゲンやエラスチンの生成に与える影響も検証されました。老齢細胞にエクソソームを添加すると、老化マーカーの発現が低下しただけでなく、1型コラーゲンやエラスチンの生成量が増加しました。このことから、ヤギミルク由来エクソソームが細胞の老化を抑制し、コラーゲンとエラスチンの生産を促進することが示されました。
今後の展望
ファンケルは、加齢に伴う肌の変化に対応する新たなアプローチを模索しています。線維芽細胞の機能低下やそれに伴うコラーゲン・エラスチンの生成力の低下が最大の要因です。そのため、新たに発見したmiR-365aを利用し、老化抑制第一歩となる化粧品の開発に活かしていきます。エクソソームが持っている特性を生かし、ヤギミルク由来成分の老化抑制効果は、肌のシワやたるみを予防・改善する力を発揮することが期待されるでしょう。今後もファンケルは研究を重ね、高い効果を持つアンチエイジング化粧品の開発に邁進していくことでしょう。