新がん治療薬申請
2025-12-21 17:29:19

岡山大学発の新がん治療薬「テロメライシン」が厚生労働省に承認申請

岡山大学が開発した新たな治療法「テロメライシン」の承認申請



岡山大学の研究チームが開発した腫瘍溶解ウイルス製剤「テロメライシン」が、厚生労働省に医薬品製造販売の承認申請を行いました。この革新的な治療薬は、特に食道がんという難治性のがんに対して効果的とされています。

テロメライシンとは?



テロメライシン(OBP-301)は、岡山大学で数年にわたり研究されてきた抗がんウイルス製剤で、がん細胞のみに増殖し、正常細胞には影響を与えない特性を持っています。この特性により、安全性が保たれながら、効率的にがん細胞を攻撃することが可能です。また、この薬剤は放射線治療との併用により、相乗効果が期待されており、治療効果を高めることが示されています。

研究の経緯



テロメライシンの臨床試験は、2006年から米国で開始され、FDAの承認を得ることで安全性が確認されました。その後、岡山大学内での研究を進め、2013年からは食道がん患者を対象にした臨床研究が行われました。さらに、2017年には国立がん研究センターとの共同で企業治験が実施され、2020年には全国17の医療機関での第II相試験が行われました。これらの研究を経て、高い臨床的完全寛解率が得られ、今般の厚生労働省への申請に至りました。

社会に与える影響



テロメライシンの製造販売承認申請は、アカデミア発の創薬が実際に市場に出る大きな一歩となり、食道がん患者にとって治療選択肢を広げることが期待されています。特に、日本では食道がん患者が多いため、この治療薬が実用化されれば、多くの患者に恩恵をもたらすでしょう。研究を主導した藤原俊義教授は、「約半数の患者さんでがんが消失したことが非常に嬉しい」とし、実臨床でも多くの患者に届くことを願っています。

今後の展望



テロメライシンは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)による「先駆け審査指定制度」にも指定されており、現在は富士フイルム富山化学株式会社との販売提携契約を通じての販売準備が進められています。本薬剤の上市は、低侵襲で優しい治療法として、がん患者さんに新たな希望を提供することが期待されています。

今後、テロメライシンの進展がどのように食道がん治療に影響を与えるのか、多くの人が注目しています。今回の申請によって、岡山大学の研究が実際の医療の現場でどのように役立つのか、そして食道がん患者たちにとっての新たな治療の光となることが待たれます。


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