行政手続きのオンライン化、利用者の選択と意識調査結果
近年、全国の自治体では住民の利便性を高め、業務の効率化を図るために行政手続きのオンライン化が進められています。この流れの中、紀尾井町戦略研究所(KSI)が実施した調査によって、多くの住民がどのように役所の手続きを利用しているのか、その傾向が明らかになりました。
オンライン派と窓口派の割合
調査によると、役所での手続きを行う方法として「オンライン」を選択した人は39.7%で、「対面窓口」を選んだ人は37.4%と、ほぼ同数という結果になっています。さらに、コンビニで手続きを行う人は11.1%、郵送を選ぶ人は6.5%にとどまりました。この結果から、役所手続きにおけるオンライン利用は一定の支持を得ていることがうかがえます。
面白いことに、年代によって選択肢の傾向が異なる点が挙げられます。オンラインを選んだ人の多くは20代で、60%以上がオンライン利用を選びましたが、70代以上ではその数が20%台に減少しました。一方で、対面窓口を選ぶ人は、年代が上がるほど増加し、70代以上では60%を超える結果となっています。これは、年齢によるデジタルデバイドを示唆するものでしょう。
行政広報の読まれ方
次に、市区町村が発行する広報誌の利用状況に目を向けます。調査によると、「毎号必ず読む」と答えた人は16.0%にとどまり、「あまり読まない」と答えた人が23.2%もいます。一方で、広報誌を「時々読む」とする人は26.7%あたり、関心の薄さが明確に現れています。
特に女性は、男性よりも高い割合(2割台前半)で広報誌を定期的に読む傾向があることも注目されます。また、年代別では70代以上が最も高い興味を示していることから、年配層の地域情報への関心が高いことが伺えます。
働き方改革と開庁時間短縮
最近、一部の市区町村では、働き方改革の一環として開庁時間を短縮する取り組みが進められています。これに対する住民の反応は、「不便だが仕方ないと思う」が51.0%、「不便だと思う」が29.8%となり、おおむね受け入れられつつあると言えそうです。
不明点の解消方法
また、行政サービスの利用に関する不明点を解消する方法として、最も多く選ばれたのは「対面窓口を訪問」で46.8%、次いで「担当部署に電話する」が43.0%、そして「ウェブサイトを見る」が31.4%という結果です。この調査からは、特に年代が上がるにつれて、対面での対応を好む傾向が強いことが示されています。
暴言や不当要求の状況
一般の利用者から職員に対して暴言や不当な要求を受けた経験があるかという問いに対しては、「ない」と答えた割合が77.0%と高い結果となりましたが、一方で「ある」とした人も18.0%存在しました。この数字は年代が上がるごとに減少するため、若い世代でのトラブルが目立つということも示唆しています。
結語
KSIの調査を通じて、住民が役所の手続きをどのように利用しているのか、またその背景にある意識を理解する貴重なデータが得られました。今後、さらに進展するデジタル化の波に対して、どのように行政サービスが適応していくのかが注目されます。
関連情報については、紀尾井町戦略研究所の公式ウェブサイトをチェックしてみてください。