中国初のNEV専用オールテレーン・サーキットが鄭州にオープン
2023年8月14日、中国河南省の鄭州市において、BYDが国内初の新エネルギー車(NEV)専用オールテレーン・サーキットを開業しました。このサーキットは、「Technology for All(すべての人に技術を)」という企業の理念に基づいて設計されており、サーキット走行だけでなく、プロドライバーの育成や多彩な走行体験を通じてNEV文化の普及を目指しています。特徴的なのは、屋内砂丘や渡河プールを含む8つの体験ゾーンです。
多様な体験が可能なサーキット
このオールテレーン・サーキットでは、従来の単純なコース型とは異なり、さまざまな走行体験が一つの場所で楽しめるように配置されています。例えば、落差29.6メートル、傾斜28度の屋内砂丘は、世界最大の試験用砂丘としてギネスに登録されています。この砂丘は、モンゴル自治区アラシャー砂漠の砂質を再現するために6,200トンもの砂を使用し、本格的な砂丘走行を体験することができます。
さらに、全長70メートルの渡河プールは高級SUV「仰望U8(ヤンワン ユーエイト)」専用のコースとして設計されており、水中観察窓からは車が水中で旋回したり移動する様子を間近で見ることができます。このような新しい体験を通じて、自動車の安全技術や運動特性を学ぶことができます。
安全体験ゾーンの充実
サーキット内には、安全体験ゾーンも完備されています。「キックプレート」では、濡れた滑りやすい路面と可動式プレートを使って、緊急回避操作を安全に体験できます。また、中国初の直径44メートルの「低摩擦サークル」では、玄武岩タイルに水膜を形成することで、氷雪のような摩擦係数を実現。この特殊な環境下でもBYDの先進的な電子制御技術により、安定したドリフト走行を楽しむことができます。
幅広い走行体験
全長1,758メートルからなるレーストラックでは、9つのカーブと550メートルの直線部分が設置されており、高速加速とコーナリング性能を試すことができます。さらに、面積1万5,300㎡のダイナミックパドックでは、スラロームやエルクテスト、自動駐車などの先進運転支援技術(ADAS)を体験することが可能です。また、初級から上級まで27種類のオフロードコースが用意されているため、都市型SUVでも安心して初級コースを走ることができます。
今後の展開
鄭州のサーキットに続き、BYDは今後、合肥や紹興にも新たなサーキットを続々と開設していく予定です。紹興には、標高500メートル、面積約133ヘクタールのオフロードエリアも計画されています。さらに、BYDは中国自動車・オートバイ運動連盟(CAMF)と協力し、100万人を対象としたレース文化の普及に加え、100人のプロドライバー育成を目指す「ニュートラック・スキーム」を開始しました。この取り組みについて、CAMFの詹郭軍会長は「BYDのサーキットは、中国におけるNEVレースのプロ化を加速させ、自動車文化を新しく作り直してくれるだろう」と述べています。
BYDについて
BYD(比亜迪)は1994年に充電式バッテリーメーカーとしてスタートし、現在では自動車、軌道交通、新エネルギー、エレクトロニクスの4つの事業を展開しています。全世界でゼロエミッションエネルギーソリューションを提供しており、フォーチュン・グローバル500企業としても知られています。詳細は
BYD公式サイトをご参照ください。