横浜市で進行する水素エンジンバスのプロジェクト
2023年に横浜市、リケンNPR株式会社、東京都市大学、そして日清オイリオグループの四者が連携協定を結び、水素エンジンバスに関する研究と実証に取り組むことが発表されました。この協定は、水素エネルギーを利用した公共交通機関の実現に向けた重要なステップとなっています。
水素エンジンバスの概要とは
水素エンジンバスは、既存のディーゼルエンジンを水素燃料によるエンジンに改造したもので、環境に優しい輸送手段として注目されています。このプロジェクトでは、運輸部門からのCO₂排出量削減を目指し、様々な研究実証が行われる予定です。
主要な研究事項
この連携のもと、以下の主な取り組みが計画されています:
1. 運輸部門のCO₂排出量削減に向けた研究
2. 水素エンジンバスに関する実証試験
3. 横浜市内での走行実証や普及啓発活動
具体的なプロジェクトの計画
日清オイリオ、リケンNPR、東京都市大学の共同で小型バスを用いた水素エンジンバスの研究実証が進められています。この取り組みは、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの採択を受けており、2026年度以降の事業化を目指しています。
具体的な実施内容には、環境対応バスへの需要調査やエンジン改造の実現性調査、さらには車両設計による実現性の確認が含まれます。また、これに即したテスト走行や意見交換も予定されています。
水素エンジンバスの利用予定
横浜市では、中古の小型バスを改造し、バス運転手によるテスト走行を行う計画が進行中です。これにより、実際の運用に対するフィードバックを得ることができ、さらなる改善点を見つけることを目指しています。小型バスは、都市内の狭い道でも運行可能な特性を持っており、バス事業者によってすでに多くの導入例があります。
水素エンジン技術の背景
水素エンジンは、ディーゼルやガソリンの代わりに水素を燃料として使用し、排気ガスのほとんどが水(H₂O)であるため、環境への影響が小さいとされています。この技術の推進は、水素エネルギー社会の実現に向けた重要な一歩とされています。
政府はまた、神奈川県を水素モビリティ社会の実現に向けた重点地域に選定しており、20230年度までに燃料電池車両の導入や水素ステーションの整備を進める方針です。
日清オイリオの役割
日清オイリオは、水素を用いた脱炭素化社会の実現に向けた取り組みを強化しており、2050年のカーボンニュートラル達成を目指しています。同社では、自己の事業場を水素利用のフィールドとして活用し、再生可能なエネルギーの活用を進めています。今後、その成果がどのように実を結ぶのか、注目されるところです。
結論
横浜市での水素エンジンバスの研究実証は、地域社会における環境意識の高まりを反映したものであり、今後の水素社会の実現に向けた貴重な一歩です。市民にとっても、持続可能な交通手段の普及に期待が寄せられています。このプロジェクトを通じて得られた知見が、他地域への展開にも寄与することが期待されます。