日本の伝統を継承するディバージョンGの挑戦
神奈川県川崎市に本社を置く株式会社ディバージョン(以下、ディバージョン)は、山形県鶴岡市にある老舗のガラス工房、松ヶ岡ガラス工業を2023年12月に承継しました。長年の歴史を持つ同社は、日本最大級のガラスプレス成形工場の一つであり、しかし近年、エネルギーコストの高騰やデフレの影響を受け存続が危ぶまれていました。そんな中でディバージョンは、この貴重な技術を後世に残すため、様々な施策を講じています。
ガラス工房存続への挑戦
承継後、ディバージョンは老朽化した設備の改良やブランディング強化、新商品の開発、販路の拡大を進めてきました。2026年には、30年ぶりにバザー&オープンファクトリーを開催し、多くの地域住民に支持を得ることができました。このイベントでは「日本の名店で使われているガラス食器が、実は身近な工場で作られていた」というメッセージが感動を呼びました。
しかし、ガラス製造はエネルギーを多く消費する産業のため、国内だけでは厳しい現実があります。そこで、ディバージョンは海外市場への進出を決断しました。
「感情に訴える」アプローチの成功
今回のプロジェクトでは、北米で人気を博した「ミルクガラス」というヴィンテージスタイルをテーマにしています。その背景には「スローリビングの美しさ」「手作りの温かみ」「日常に寄り添うノスタルジー」といった情緒的な価値を強調する戦略があります。通常、テーブルウェアの分野では「使いやすさ」「耐久性」「機能性」が重視されやすいが、ディバージョンはその枠を超えて、感情に訴えるストーリーを提案し、短期間で大きな支持を獲得しました。
このクラウドファンディングプロジェクトは、開始からわずか24時間で約$20,000を調達し、その後も順調に資金を増やしており、合計で$50,000を超えました。この成功は、他に類を見ない特異な事例といえるでしょう。
経営資源の多様化と企画力
ディバージョングループは松ヶ岡ガラス工業に加え、常滑焼のヤマキイカイや波佐見焼の西日本陶器なども承継しています。テーブルウェアに特化した地域のものづくりを国内外に発信することは、グループの重要な使命として位置づけられています。このような背景の中、ディバージョンは生活雑貨のOEM企画・製造を行う事業で培った企画力を今回の海外プロジェクトに応用することに成功しました。
今後は、アメリカ最大のデザインギフトショー「NY NOW」への出品も決まり、松ヶ岡ガラスの技術力を海外バイヤーにアピールする計画が進行中です。このように、ディバージョンはこれからも日本の地域ものづくりを存続させつつ、その価値を広めていくことでしょう。
最後に
地域に根ざした日本の伝統を受け継ぐディバージョンの試みは、ただの企業活動に留まらず、文化や技術の保存にも寄与する重要な取り組みです。これからの展望に目が離せません。