日本の水資源を守る新たな動き
水は人間生活に不可欠な資源ですが、最近、日本では水インフラの老朽化や水道料金の高騰、さらには担い手不足などの問題が顕在化しています。更に、気候変動の影響で干ばつや豪雨が頻発し、農作物の収量にも深刻な影響を及ぼしています。これらの課題を解決するために、企業間で協力し新たな取り組みが始まります。それが「ジャパン・ウォータースチュワードシップ」(以下JWS)です。
JWSの目的と活動内容
JWSは、国際認証機関である「Alliance for Water Stewardship」(AWS)と日本国内の企業が協力し、水資源の責任ある管理を促進することを目的として、2023年3月に始まりました。この取り組みは、スコットランドに本部を置くAWSとの連携によって進められます。具体的には、企業が協力して流域の水資源を保護し、水リスクに対応する環境を整えるための活動が推進されます。
このプロジェクトでは、研修プログラムが日本語で提供されるほか、企業間のネットワーキングや協働活動、さらには行政機関との連携も進められます。AWSは2025年から日本をウォータースチュワードシップ推進の戦略国として位置づけており、その期待は大きいです。
水のサステナビリティを考える
AWSは、世界全体で水の持続可能な利用を推進する国際機関です。ウォータースチュワードシップとは、「社会的・文化的に公平で、環境的にも持続可能であり、経済的にも有益な水の利用」を実現するために、利益関係者を巻き込んだプロセスを経て行われる活動を指しています。現在、200以上の企業や団体がこの取り組みに加盟しており、AWSによる国際水利用の認証を取得した工場も約300にのぼります。
参与企業の取り組み
JWSの活動には、以下の主要企業が参加しています。
- - MS&ADインシュアランス グループ:サステナブルな社会の実現に寄与するため、球磨川流域での水循環保全を推進しています。
- - 栗田工業:水処理に関する製品やサービスを提供し、持続可能な水資源管理を実践しています。
- - サントリーホールディングス:国内初のAWS認証を取得した工場を持ち、ウォータースチュワードシップの普及に努めています。
- - 日本コカ・コーラ:流域の水資源管理を推進し、国内外での認証取得に取り組んでいます。
- - 八千代エンジニヤリング:水循環計画やリスクアセスメントを行い、健全な流域管理に寄与しています。
未来に向けた期待
JWSの立ち上げに際し、AWSのCEOエイドリアン・シム氏は、日本の企業が水リスクに直面している中での行動の重要性を強調しました。彼は、五社の企業が協力してノウハウを共有し、より良い水の未来を目指すことを期待しています。
JWSの始動は、日本における水資源保全の新たな時代の幕開けと言えるでしょう。持続可能な水管理についての意識を高め、企業と地域社会が共により良い未来を創造するための取り組みに、ぜひ注目していきたいところです。