E7386とレンバチニブの併用試験が明らかにした可能性
株式会社PRISM BioLabとエーザイ株式会社が共同で開発した新しい抗がん剤E7386について、最近の米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で新たな臨床試験結果が発表されました。この試験は、進行性の子宮体がん患者を対象にしたもので、E7386と経口マルチキナーゼ阻害剤であるレンバチニブとの併用療法の有効性が調査されています。
E7386についての概要
E7386は、がん細胞の悪性化に深く関与するCBP/βカテニン相互作用を阻害する経口低分子薬です。日本企業であるエーザイとPRISM BioLabによって共同で創出されました。この薬剤は、2021年に初期の有効性を確認した後、現在は固形がん患者に対して第Ⅰ相臨床試験が進行中です。
レンバチニブの役割
レンバチニブは、特定の腫瘍血管新生やがんの悪性化に関連する受容体を選択的に阻害する薬剤です。この薬剤のもとで、エーザイは日本を含む国々で様々ながんに対して承認を受けています。
進行子宮体がん患者に対する試験の実施
今回の試験は、進行した子宮体がんの患者を対象に実施されており、治療歴として抗PD-(L)1免疫療法やプラチナ製剤を受けた後に病状が悪化した方々が含まれています。30名の患者の組み入れが完了し、これまでに9名には研究薬の投与がなされました。
有望な試験結果
新たに発表されたアブストラクトによれば、E7386とレンバチニブの併用療法は、管理可能な安全性プロファイルを示しつつ、有望な抗腫瘍効果を示唆しています。特に全奏効率(腫瘍の大きさが30%以上縮小した患者の割合)は30%を記録し、レンバチニブの治療歴がない患者では42.9%にも上りました。
これらの结果は、E7386とレンバチニブの併用療法が特に進行子宮体がんのような厳しい症例において患者に利益をもたらす可能性があることを示しています。受けた結果を基に、患者の用量最適化プログラムもスタートしており、今後の展開に期待が高まっています。
PRISM BioLabの使命
PRISM BioLabは、タンパク質間相互作用(PPI)の制御による新薬開発を目指す企業です。また、独自開発したぺプチド模倣技術『PepMetics®』を活用し、がんや線維症の新しい治療法の実現に向けて、国内外の大手製薬会社と連携を図っています。
このように、E7386とレンバチニブに関する研究は、がん治療の新たな礎となる可能性を秘めた重要な試験として、多くの期待が寄せられています。今後の進展に注目が集まります。