静かな記憶を呼び起こす絵本『うさぎのしま』6月12日発売

絵本『うさぎのしま』が描く過去と未来

6月12日に発売される絵本『うさぎのしま』は、戦後80年という重要な節目に登場します。作家は近藤えり、そしてイラストはたてのひろしが担当しており、特に柔らかなパステル画が印象的です。本書では、広島県の大久野島を舞台に、可愛らしいうさぎたちと戦争の記憶が交錯する物語を描いています。

大久野島の歴史

大久野島は、かつて第二次世界大戦中に極秘裏に毒ガスが製造されていた「地図から消された島」として知られています。当時、この地では白いウサギが実験動物として使われていました。現在では、約500羽のウサギが平和に暮らし、観光名所として多くの人々に親しまれています。

しかし、島の豊かな自然とその裏に隠された悲しい真実。この二つの側面を絵本を通じて優しく語りかけることが、本書の大きなテーマとなっています。

物語の概要

物語は、一組の親子が大久野島を訪れ、白いウサギを見つけるところから始まります。彼らの何気ない会話が、封印された過去を呼び覚まします。ふとした瞬間に出現する「ガスマスクを付けた人」や、戦争によって影響を受けたウサギたちの姿は、読者に強烈なメッセージを伝えます。まっすぐなウサギの視線を通して、私たちは何を感じ取るのでしょうか。

読者の声

発売前に作品を読んだ人々からは、心に響く感想が寄せられています。多くの書店員や一般読者が、絵本が持つメッセージについて深く考える機会を与えてくれると語っています。注目すべきは、ウサギたちが「人間に振り回された存在」であることに気づかされたという意見や、戦争と環境の問題を同時に考えるきっかけを得たという感想です。