相模原市における音声AIによる生物多様性モニタリングの実証実験
令和5年、環境省は「生物多様性国家戦略2023-2030」を公表し、2030年度までに生物多様性の損失を食い止め、回復することを目指す「ネイチャーポジティブ」の実現を掲げました。この戦略の実行に向けて、各地域での生物の生息状況の調査やモニタリングが不可欠です。しかし、従来の人手による調査は労力やコストの観点から持続的な実施が困難であるという問題があります。
そこで、株式会社奥村組と神奈川県相模原市が共同で行う音声AIを活用した生物多様性のモニタリング実証実験がスタートしました。この取り組みは、相模原市の木もれびの森に設置された複数の音声AI装置を用い、生物の音声データを24時間体制で収集することを目的としています。
実証実験の具体的な内容
この実証実験では、主に鳥類に焦点を当てながら哺乳類や両生類、昆虫など幅広い生物の音声を収集します。音声AI装置は太陽光発電システムを装備しているため、電源の確保が難しい山間部でも安定したデータ収集が行える特徴があります。相模原市内の自然環境の音を正確に捉えることで、従来のモニタリング手法との比較データも得ることができます。
この実証実験は、2024年8月に結ばれた奥村組と相模原市の包括連携協定に基づいて実施されており、環境DNA調査と併用することで、これまでの手法の限界を克服し、効率的に生物の生息状況を把握することを目指しています。
データの可視化と市民への普及
さらに、実証実験を通じて得られたデータは、一般市民に対して生物多様性の重要性を伝達するために、グラフや図、映像等で可視化される予定です。この取り組みは、地域住民が生物多様性を理解し、その価値を感じるための大きな一歩となります。
奥村組では、環境ソリューション部が中心となりこの実証実験を推進しており、特に技術研究所に所属する長千佳による詳細なデータ解析が期待されています。加えて、環境に対する意識を高めることが地域の持続可能な未来を築くために重要であると考えています。
実証実験が成功を収めれば、音声AIの技術が生物多様性の保全に貢献する新たな手段として広く活用されることでしょう。相模原市の取り組みを通じて、地元の自然環境保護の意義を再認識し、持続可能な社会の実現に向けた一助となることを期待します。