医療安全体制に関する調査結果から見えた無床診療所の課題とは
最近、株式会社MediCEによる医療安全に関する調査が行われました。この調査は全国の診療所で勤務する医師149名を対象としており、結果として医療安全体制に対する対応状況が浮き彫りとなっています。特に無床診療所においては、法令で義務付けられた体制整備が未対応であることが示唆されています。
調査結果の概要
調査の結果、法令に基づく医療安全管理指針の策定率は58.4%、医療機器保守点検計画に至ってはわずか44.3%に留まっています。これは、全体の約半数近くの診療所が、法令で求められているにもかかわらず未対応であることを示しています。また、医療安全・感染対策講習の実施率も38.7%と低迷しており、実施済みの診療所の中でも形式的な実施にとどまっている場合が多く見受けられます。
無床と有床診療所の違い
無床診療所と有床診療所の間には、最大で30ポイント以上の違いがあり、無床診療所の講習実施率は38.7%に対し、有床診療所は24.7ポイント高いとされています。これは、保健所による立入検査の頻度や、医療機関の体制の違いが影響していると考えられます。
必要性を感じながらも運用が困難
医師たちは、インシデントレポートの必要性を約8割が感じているものの、実際に運用できているのは半数程度にまでしか及んでいません。多くの場合、報告はアナログな紙ベースで行われており、共有状況も「しっかりできている」と答える施設は40.8%とされています。
未実施の理由
調査に基づくと、未実施の理由には「スタッフの調整が難しい」「方法がわからない」「実施にかける時間がない」といった声が多く寄せられています。特に、院長が日々の診療と経営を兼務しているため、制度の認知不足や実施ノウハウの欠如が背景にあるとされます。
今後の展望
MediCEはこのような課題の解決を目指し、医療安全支援クラウドサービス「クリニックパートナー360」を提供しています。このシステムは、医療安全に必要な各種指針の策定や、インシデント報告の効率化を図るもので、医師の負担を軽減し、体制整備を支援することを目指しています。
本調査を通じて、無床診療所における医療安全体制の整備が急務であることが示されています。法律を遵守し、患者の安全を確保するためには、各医院が取り組むべき課題として、体制の構築や実施ノウハウの確立が挙げられます。今後のさらなる動きに期待しましょう。
調査概要
- - 調査対象: 全国の診療所に勤務する医師
- - 調査方法: インターネット調査(Freeasy)
- - 調査期間: 2025年4月8日~21日
- - 有効回答: 149名(無床診療所119名、有床診療所30名)
- - 調査主体: 株式会社MediCE
MediCEは、医療機関が安心して医療を提供できる環境づくりを目指しており、引き続き多くのクリニックへの支援を行っていく予定です。