相模原市消防局が導入した新たな消火器訓練技術
神奈川県相模原市消防局は、最新技術を活用した「消火器トレーニングMR」を導入しました。この新しい取り組みは、地域の火災予防意識を高めるために設計されており、特に家庭内での消火器の重要性を啓発することを目的としています。
消火器トレーニングMRとは?
「消火器トレーニングMR」は、Mixed Reality(複合現実)技術を使用して、実際の環境に仮想の火災を発生させることができるシステムです。これにより、参加者は実際に消火器を使うような臨場感を味わいながら、消火訓練を行うことが可能です。具体的には、Meta Quest 3や3Sのヘッドセットを使用して、仮想的な火災現場にて消火作業を体験します。
この技術は、出火場所や延焼範囲、消火器の設置場所を自由に設定できるため、様々な環境に応じた訓練が行えます。また、利用後にはAIによるスコア判定が行われ、参加者の訓練内容を評価することができます。
消防局の取り組みとその結果
相模原市消防局では、2024年度に実施した防災イベントで「消火器トレーニングMR」を6回導入し、約200名の市民や事業者に体験してもらいました。その結果、消火器の設置に対する意識が大きく変わったことが明らかになりました。体験後のアンケートによると、93%の参加者が自宅に消火器を設置したいと回答しました。これは、消火器の重要性を理解した証です。
消火器設置の現状と課題
日本の消防法では、個人宅への消火器設置が義務付けられていません。そのため、多くの家庭での設置率は30%未満という低い数字が示されています。しかし、火災はいつ起こるか分からないため、家庭用の消火器があれば初期消火が可能となり、被害を最小限に抑えることが無理なくできます。
相模原市消防局は家庭への消火器の設置を促すための啓発活動を今後も強化していく方針です。
今後の展望
深谷歩事務所は、「消火器トレーニングMR」の利便性を高めるため、実物の消火器と連携した新たな訓練システムの開発にも取り組んでいます。これにより、より実践的な消火訓練が行えるようになることでしょう。
さらに、2025年10月には「危機管理産業展(RISCON)」に出展予定であり、より多くの人々にこのサービスを知ってもらう機会を設けることを計画しています。
まとめ
相模原市消防局が導入した「消火器トレーニングMR」は、地域における火災防止の取り組みに新たな視点を提供しています。多くの参加者が実際の体験を通じて消火器の重要性を認識し、自宅に設置する行動を促進されることが期待されます。このような活動が全国に広がっていくことで、火災による被害を少しでも減少させることができるでしょう。