アーティストとひらく 戸田沙也加展「沈黙と花」
2025年6月28日から11月3日の期間、横浜美術館は新しいプログラム「アーティストとひらく」の一環として、アーティスト戸田沙也加の展覧会「沈黙と花」を開催します。この展覧会では、戸田が戦後80年を迎えた日本における争いや共生の可能性を作品を通じて問いかけます。
戦後の象徴「カンナの花」
1945年、広島に原爆が投下された際、多くの草木が枯れ果てる中、爆心地から約800mの場所でカンナの花が咲く姿が捉えられました。この花は、逆境の中で力強く生きる姿として、希望の象徴となりました。戸田はこのカンナをテーマに、コロナ禍の影響を受けた友人との関係を織り交ぜながら、現代日本における「平和」を模索する作品を発表しています。
戸田沙也加は、画家としてデビューしていますが、最近では写真や映像インスタレーションなどの手法も取り入れ、個性的な表現を展開しています。彼女は、カンナの花と共に東京を歩き、景色の中で感じる感情や、友人への思いを作品に込めています。これにより、私たちに平和の尊さや他者との共生について考えるきっかけを与えてくれます。
新作と歴史的な対話
本展では、戸田が敬愛する二人の画家、小川原脩とジョアン・ミロの作品が特に注目されています。小川原は戦前、東京で芸術活動を行いながら戦争へと招集され、ミロは多くの戦争を体験したスペインの画家です。戸田は彼らの作品からインスパイアを受け、新作を通じて「違いを受け入れ共生する」というテーマを再考します。
展覧会は「平和であることへの、控えめななにごとかを」と連動して開催され、アートの持つ力を再認識させてくれる場となるでしょう。また、このプログラムは新しい美術館のあり方、西洋と日本文化の交差点についても考える良い機会です。
横浜美術館の未来と多様性の重要性
横浜美術館は、「多様性」を掲げ、この理念をカタチにするためにリニューアルしました。新進アーティストとの協働によって、美術の未来や美術館のあり方を考える場としての役割を果たしています。戸田の作品を通じて、観客は新しい視点や価値観に触れることができるのです。このように、横浜という地は、グローバルな視点とローカルな歴史を持ち合わせた特別な場所でもあります。
展覧会情報と入館方法
この展覧会は横浜美術館の公式ウェブサイトにて詳細が案内されており、開館時間や休館日、料金についても確認できます。一般500円、大学生300円、中高生100円、小学生以下は無料と、幅広い年齢層の来場を促しています。特に毎週土曜日は高校生以下が無料観覧できるため、若い世代にもアートに触れるチャンスがあります。
戸田沙也加展「沈黙と花」は、単なるアートの展示ではなく、私たちの心に平和や共生の大切さを訴えかける作品が並びます。この機会にぜひ、横浜美術館を訪れてみてはいかがでしょうか。