ダチョウ肉の次世代たんぱく源としての可能性
近年、栄養価が高く健康効果がある食材として注目を集めている「ダチョウ肉」。吉野家ホールディングスの傘下である株式会社SPEEDIAが行った新しい研究により、ダチョウ肉に含まれる成分が疲労軽減や血管の老化防止に寄与する可能性が示されてきました。
研究の背景
SPEEDIAは、ダチョウの飼育、研究、商品開発、そして販売を手掛ける企業で、茨城県石岡市には国内最大の500羽を飼育するダチョウ牧場があります。ここではダチョウ肉の栄養価や健康効果に関する研究が進められています。このたび発表された研究成果は、オーストリッチミート(ダチョウ肉)が持つ潜在的な健康効果についてさらに詳しく探求したものです。
疲労回復と血管の健康
研究によると、オーストリッチミート(ハム及び水煮)を7日間摂取したところ、筋肉形成や疲労回復に重要な分岐鎖アミノ酸(BCAA)や抗疲労物質のアンセリンが増加したことが確認されました。特に、オーストリッチハムを摂取したグループでは、血中のタウリンが有意に増加し、疲労回復に寄与することが示されたのです。
また、血液の健全な状態を維持するためには赤血球の状態が重要です。この研究では、オーストリッチハムを摂取した場合、採血による一時的な赤血球プロファイルの悪化が見られず、逆に平均赤血球容積が有意に増加したことが示されました。これは血液の健康の維持に貢献することを示唆しています。
血管のアンチエイジング効果
さらに、研究ではオーストリッチミートの脂溶性画分が血管透過性亢進因子(VEGF)の働きを抑制し、血管の漏れを有意に抑制する効果が確認されました。これは、血管の健全性を保つために非常に重要な知見です。血管内皮細胞を用いた実験では、脂溶性画分が細胞同士の接着を助け、血管バリア機能の強化を促進することも分かりました。
セミナーでの発表
これらの研究成果は、9月14日に東京農業大学で行われた第72回日本栄養改善学会学術総会のセミナーで発表されました。さらに、9月19日には一橋講堂で日本脂質栄養学会での発表も行われ、ダチョウ肉の抽出物が毛細血管のバリア機能を強化する可能性についても報告されました。
今後の展望
SPEEDIAは、新たな畜種としてのダチョウの有用性を解明するために、肉だけでなく、骨、羽根、皮などさまざまな部位に関しても研究を進めています。これにより、ダチョウのすべての部位を効率的に活用し、人々の美容と健康に寄与するための新たな製品開発への期待が高まります。
ダチョウ肉は、次世代の健康食材としての可能性を秘めており、今後の研究成果に注目が集まっています。健康で美しい生活をサポートする力を持つダチョウ肉、その栄養価と健康効果には多くの可能性が秘められているのです。