エクボ株式会社が発表した新たな静電シールド技術の革新

エクボ株式会社が新たに発表した静電シールド技術

神奈川県厚木市に本社を置くエクボ株式会社は、2025年11月12日に新しい静電シールド技術を発表しました。この技術は、従来の「電界を防ぐ」方法ではなく、「電界を生じさせない」革新的なアプローチを採用しています。特許第7734460号を取得した本技術は、アース（接地）が取れない条件下でも内部の電位を安定させる能力があります。

技術概要とその革新性

この新しい「電位補償型静電シールド」は、さらに高感度のセンサーを使用して筐体内の電位変化を検知し、可変電源が逆向きの補償電位を制御することで、内部の電位を地上環境と一致させる技術です。その結果、シールド内部で起こる電気現象を地上の状態と同様に保つことができ、特に宇宙空間や次世代の電気自動車（EV）において、その威力を発揮します。

従来技術の限界と新技術のニーズ

従来のファラデーケージによる静的シールド技術では、屋外環境の電位変動に対応できず、誤作動や機器の故障が多発していました。特に、宇宙や航空分野、さらにはナノボルト単位の高精度計測領域では、外部環境の基準電位が地表とは異なり、従来の技術では不十分でした。この問題に対処するために、新技術が求められたのです。

技術の意義と効果

新しい静電シールド技術は、接地不可能な環境下で信頼性を大幅に向上させ、外部からの電位変動が内部に影響を与えるリスクを根本的に排除します。これにより、電子機器が誤動作する危険性が減少し、高精度な計測が可能となります。この技術は、従来の防護概念から脱却し、内部環境を能動的に制御する新たな技術的進化をもたらしています。

多岐にわたる応用分野

この技術が期待される応用分野は多岐にわたります。具体的には、宇宙探査、航空機、車載ユニット、医療機器など、安定した電位制御が求められる様々な場面での導入が考えられています。

1. 宇宙分野: 宇宙機の電子機器が地上と同じ基準電位環境を維持することで、通信障害や制御誤差を低減可能です。
2. 航空電子装置: 高高度環境での電子機器が安定して動作できるようにし、誤作動を防ぐことが期待されています。
3. 精密医療: MRIや心電計測機器など微弱な信号を扱う機器において、電位の安定化が高精度な診断をもたらすでしょう。
4. 車載電子機器: 自動運転技術が進化する中で、内部電位の補償が重要となります。
5. 防衛分野: 電磁妨害や高電位環境に対する耐性を向上させるため、アクティブな対策に適用することも可能です。

エクボ株式会社の今後の展望

エクボグループは、「電位補償型静電シールド」を基に、さらなる技術開発を進める方針です。宇宙や医療、防衛など、接地条件が難しい環境における電子機器の安定動作を支える技術としての実用化を目指しています。このような研究を通じて、日本の科学技術の発展に貢献することが期待されているのです。

この新技術によって、国内外での産業競争力を高め、より高性能な電子機器の実現が待たれます。エクボ株式会社は、今後も科学と技術の革新に取り組み続けていくことでしょう。