ファンケルが開発した新たな保湿技術「液晶ニオソーム」
株式会社ファンケルが発表した「液晶ニオソーム」は、スキンケア製品における保湿効果を一層高めるための新技術です。従来の保湿成分であるヒト型セラミドを更に進化させた「液晶ニオソーム」は、肌の水分を守るためのパワーを増幅させることに成功しました。この技術は、2025年に開催される「第63回 日本油化学会年会」で発表される予定です。
研究の背景と開発の経緯
ファンケルは、これまでもナノカプセル技術の研究を進め、特に保湿成分であるヒト型セラミドの安定した配合技術を確立してきました。ヒト型セラミドには、結晶性が高く、肌に浸透しにくいという特性があり、従来の技術では効果を最大限に発揮できないという課題がありました。そのため、研究チームはセラミドを液晶化し、より柔軟性のある膜を持たせることで、効果的な保湿を実現することを目指しました。
「液晶ニオソーム」の製造過程
1. 液晶組成物の確認
セラミド、フィトステロールズ、ステアリン酸ポリグリセリル-10を特定の比率で配合し、偏光顕微鏡を用いて観察した結果、液晶の状態が形成されることを確認しました。この状態が、柔軟な膜を生むための第一歩です。
2. ニオソームの構築
次に、非イオン界面活性剤を使って、ヒト型セラミドを含む液晶組成物をニオソームに取り込みました。この過程で、膜の内部にヒト型セラミドが安定的に含まれる「液晶ニオソーム」へと進化しました。
3. 性質の検証
新たに生まれた「液晶ニオソーム」は、球状の粒子でありながら、温度変化に対する柔軟性が高いという特性を持っています。この特性は、製品を塗布する際に肌にとても優しい影響を与えるのです。
保湿効果の実証
「液晶ニオソーム」の保湿性能の確認には、水分透過試験が行われました。この試験では、液晶ニオソームが従来のセラミドニオソームに比べて、より優れた水分蒸発の抑制効果を示しました。水分が蒸発する条件下でも、「液晶ニオソーム」は、巨大な繊維状構造に変化し、肌をしっかりと守るバリアを形成します。
まとめ
ファンケルの新技術「液晶ニオソーム」は、画期的な保湿能力を持つスキンケア製品へと進化させる可能性を秘めています。ヒト型セラミドを最大限に活かすことで、肌に柔軟性と保湿力を与えるこの技術は、多くのユーザーにとって魅力的な選択肢となることでしょう。今後の研究と展開が非常に楽しみです。ファンケルの取り組みが、美容業界にどのような革新をもたらすのか期待が高まります。