子どもたちの心の安全基地を目指して
2025年5月1日、神奈川県横須賀市に「子どもと若者の訪問看護ステーション」が新たに開設されました。このステーションは、医療的なケアが必要な子どもだけでなく、精神的な不調や不登校といった問題を抱えた子どもたちにも焦点を当てた訪問看護サービスです。地域のつながりを活かし、安心して過ごせる居場所を子どもたちに提供しています。
増加する子どもたちの自殺と医療の待機問題
近年、日本の小中高生において自殺者数が増加傾向にあり、2024年には約529人と、過去最高を更新しました。これは、一週間に約10人の子どもが命を絶っているという恐ろしい現実を示しています。このような厳しい状況の中、精神的な悩みを抱える子どもたちが医療にアクセスできず、初診までの待機期間が長引くことが問題視されています。さらに、医療的ケアを必要とする子どもも増加し、家庭や地域の支援が求められています。
地域に根ざした新たな支援モデル
特定非営利活動法人プラットファーム(鎌倉市)は、これまで子どもたちの“見えにくい困りごと”への支援を行ってきました。特に、私設の「子どもと若者の図書館」では、多くの子どもたちが静かに過ごせる場を提供し、地域の中で医療と福祉を融合した新たな支援の可能性を探っています。この思いから訪問看護ステーションを開設することに至りました。
訪問看護の具体的なサービス内容
この訪問看護ステーションでは、医療的ケアが必要な0〜18歳の子どもたちを対象に、看護師が直接自宅を訪れ、医療的な支援だけでなく、精神的なサポートや日常生活の支援も行います。例えば、発達障害や精神疾患を抱えている子ども、不登校やひきこもりの子どもなど、さまざまなニーズに応じた個別支援が実施されます。また、地域の医療機関との連携も強化し、外出が難しい子どもたちが必要な医療にアクセスできるようにします。
図書館との連携による支援
訪問看護ステーションは、子どもたちとその家族が安心して利用できる「子どもと若者の図書館」と連携しています。ここでは、看護師が子どもたちと対話しながら、安心して過ごせる空間を作り出しています。図書館を訪れることができない子どもたちにとって、訪問看護のサービスが直接手元に届けられることは、支援の新たなモデルとなるでしょう。このように、居場所支援と訪問看護を組み合わせて子どもたちへのサポートを充実させていくことが、今後の重要な課題です。
今後に向けて
今後、訪問看護ステーションは、より多くの子どもたちが地域コミュニティとつながりながら安心して生活できるよう、柔軟な支援体制を整え、全国にそのモデルを広めていくことを目指します。地域内のさまざまな支援機関と連携し、子どもたちが必要としている医療的ケアや精神的サポートを届けていくことが、この訪問看護ステーションの使命です。
私たちの活動を通じて、地域の中で子どもたちが安心して育ち、学び、生活できる環境を整えていきたいと考えています。子どもたち一人ひとりが自分らしく生き、つながりを持てる社会を実現するために、今後とも全力を尽くしていきます。支援や取材に関するお問い合わせは、ぜひ私たちまでご連絡ください。