箱根で開催される新たなアート体験
神奈川県・箱根町に位置するポーラ美術館で、注目の展覧会「HIRAKU Project Vol.17 ヤマダカズキ『地に木霊す』」が2025年12月13日(土)から2026年5月31日(日)まで開催されます。今回の展覧会では、石を用いた独特のモザイク技法を駆使する若手作家、ヤマダカズキの作品が展示されます。
HIRAKU Projectとは?
HIRAKU Projectは、過去にポーラ美術振興財団の助成金を受けたアーティストの作品を紹介する展覧会シリーズの一環です。第17回となる今回は、色とりどりの石を細かく砕いて組み合わせた作品を展開するヤマダカズキが登場します。モザイク技法は、油彩画とは異なり陰影や細かな描写が乏しいため、彼はその特性に着目し、地域に根づく民話や神話の曖昧さと重ね合わせています。
作品テーマ「地に木霊す」
本展では、「地に木霊す」というテーマのもと、モザイク制作を通じた反復労働の重要性が語られます。これは、山に住む精霊が森に響く「こだま」と響き合う様子を象徴しています。また、ヤマダの代表作に加え、箱根の伝承を取り入れた新作も発表されます。現代社会が追求する明晰性や再現性に対抗するように、石の声は静かに問いかけを続けているのです。
この展覧会では、観覧料が無料であるため、多くの人々がアートを身近に感じる機会も提供されています。なお、会場デザインはtandemが担当し、企画はポーラ美術館の学芸員である東海林洋が行っています。
アーティスト・ヤマダカズキについて
ヤマダカズキは1995年に熊本県に生まれました。東京藝術大学でモザイク技法を学び、2021年には神山財団芸術支援プログラム第8期奨学生となります。また、2023年にはポーラ美術振興財団の在外研修員としてイタリアにて初期キリスト教美術を学びました。彼の作品は、耐久性の高い石やガラスを使用しており、日本各地の民話をモザイクとして記録していくことをテーマにしています。さらに、寓意や不思議な要素を掘り下げ、伝統的技法と現代的な視点を融合させた表現を追求しています。
最近の主な個展には、2025年に東京のギャラリーマルヒで開催予定の「石のカタリベ」があります。また、中国のラヴェンナ市立美術館では、2024年に「100×100 Mosaico」という特別展に参加します。
同時開催されるプログラム
本展では、ヤマダカズキを講師に迎えたワークショップも開催予定です。日時は2026年3月21日(土)14:00から約2時間を予定しており、詳細はポーラ美術館のウェブサイトで告知される予定です。
ポーラ美術館の魅力
ポーラ美術館は、2002年に「箱根の自然と美術の共生」をテーマに開館。印象派から20世紀の西洋絵画を中心に、現代アートも取り入れた展覧会を開催し続けています。また、豊かな自然に囲まれた立地を活かした遊歩道では、四季折々の自然を楽しむことができるのも大きな魅力です。
開館時間は午前9時から午後5時まで(最終入館は午後4時30分)。休館日なしで、訪れる人々を迎え入れています。
ぜひこの機会に、箱根のポーラ美術館でヤマダカズキの独創的な作品に触れてみてはいかがでしょうか。現代アートの新たな側面を感じることができる貴重な体験になるでしょう。