新型汚泥濃縮機の研究
2025-04-23 11:11:26

横浜市の下水処理インフラを支える新型汚泥濃縮機の実証研究開始

横浜市とアムコン株式会社の共同研究



横浜市が2024年10月より、アムコン株式会社と連携した新型汚泥濃縮機の実証実験を開始します。この共同研究は、持続可能で効率的な下水処理インフラの構築を目的としており、横浜市南部汚泥資源化センターで2025年5月から実証実験が行われる予定です。

共同研究の背景



横浜市では家庭や工場から排出される下水が水再生センターで処理されています。その過程で生成される汚泥は、さらに汚泥資源化センターに送られ、濃縮・消化・脱水といった工程を経て最終的に焼却や燃料化されます。特に「濃縮」はこの処理過程において非常に重要なステップとなります。

従来の濃縮機は電力・水・薬品を多く consumedし、運用コストが高くなると同時に環境への負荷も増大しています。このため、より環境に配慮した技術の導入が求められています。アムコンは、洗浄水を使用せず、省電力設計を特長とする「多重板型スクリュープレス濃縮機」を開発し、多くの施設で導入されてきました。それでも、大規模汚泥処理施設には装置の大型化が難しく、メンテナンスコストや運転時の騒音が課題でした。

これらの問題に対応するために、新たに開発された「多重板型2軸スクリュープレス濃縮機」は、処理能力を大幅に向上させ、耐久性や静音性、省エネ性能を兼ね備えた装置です。今回の共同研究では、この新技術を使い、大規模処理の実現と環境負荷の低減を両立させることを目指しています。

研究の具体的な内容



この共同研究は以下のように進行します:
  • - 研究期間:2024年10月15日から2026年10月31日まで
  • - 実証実験期間:2025年5月1日から2026年5月31日まで
  • - 研究場所:横浜市南部汚泥資源化センター
  • - 対象汚泥:標準活性汚泥法を含む混合汚泥
  • - 実験内容:仕様検証、運転条件設定、処理安定性確認および大処理量化の実証

技術的特長



本研究により期待される成果は次の通りです:
  • - 濃縮効率の向上:
- 供給汚泥の濃度をTS1.0%からTS5.0%に高めることで、高効率な濃縮性能を実現します。
  • - 交換部品コストの抑制:
- 摩耗の原因となる物理的接触を排除し、メンテナンスコストを低減します。
  • - 安定した長期運転:
- 部品の摩耗による脱水性能の低下を最小限に抑え、安定した性能を発揮します。
  • - 低騒音・低振動設計:
- 静音構造により、都市型処理施設にも最適です。
  • - 節水・省電力設計:
- 洗浄水をほとんど使わず、消費電力も大幅に抑えられた環境に優しい仕様です。

これらの成果により、大規模処理への対応、環境負荷の低減、運用コストの抑制という3つの課題をクリアする新たな汚泥濃縮技術の確立が期待されています。

今後の展望



実証実験の結果を受けて、この新型濃縮機は製品化され、全国の下水処理施設への導入が進む見込みです。さらに、将来的にはアジア諸国や北米、中南米などの海外市場への展開も視野に入れており、持続可能な水インフラの構築に貢献する技術として注目されています。

アムコン株式会社は「挑戦と創造」を信条に、現場の課題に真摯に向き合いながら、技術を通じた社会課題の解決に取り組んでいく方針です。

会社概要


  • - 会社名:アムコン株式会社
  • - 所在地:〒223-0057 神奈川県横浜市港北区新羽町1926
  • - 代表者:代表取締役社長 相澤学
  • - 設立:1974年11月22日
  • - 事業内容:汚泥脱水機や各種排水処理装置の開発・製造・販売
  • - URLamcon.co.jp


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