静岡から全国へ広がる減災教育の新しい形
近年、自然災害が増加する中、子どもたちの安全を守るための教育が重要視されています。静岡市の葵区で行われた贈呈式では、こども園に向けて減災教材が寄贈され、その重要性が再認識されました。
減災教材『がたぐら』と『YURETA』の贈呈
トヨタユナイテッド静岡株式会社は、NPO法人減災教育普及協会が開発した減災紙芝居『がたぐら』を54冊、そして地震体験マット『YURETA』8セットを静岡市内の54の市立こども園に寄贈しました。『がたぐら』では、オノマトペを用いて地震の危険をわかりやすく伝え、子どもたちが早期に避難行動を考えるきっかけを掴むことができます。また、『YURETA』は手動で揺れを再現し、実際に避難姿勢を体験することで、判断力を養うための道具です。
この贈呈式では、NPO職員が現地を訪れ、子どもたちや保育者と共に「考える防災教育」を実施。教材の使い方も指導されており、単なる教材の提供ではなく、教育への考え方も含めた支援が行われました。これにより、保育現場での防災教育がより実践的に進められることが期待されています。
静岡県の防災教育の歴史と課題
静岡県は1976年に「駿河湾大地震説」が発表されて以来、日本の防災の先駆けとなってきた地域です。しかし、長年にわたり「正しい避難行動」を重視してきたあまり、ただ型を守ることが目的化してしまう傾向があり、柔軟な判断が難しくなっています。このような背景から、静岡県では「被害に合わせて行動する力」を育む必要があると言われています。
南海トラフ地震に関する現状として、近年は死者数の想定が全国最多の約10万人以上に上る恐れがあることが指摘されています。そこで求められるのが、型にとらわれず状況に応じた判断を行える「避難の質」の向上です。この新しい防災教育は、静岡から全国に広がる可能性を秘めています。
地域全体での防災力向上を目指す
我々の活動は、単に子どもたちだけでなく、保護者や地域社会、企業と連携し、全体で防災意識を高めることを目指しています。未来を担う子どもたちが災害時、自らが判断し行動できる力を育むために、地域企業の協力が不可欠です。
「防災は専門分野の問題ではなく、社会全体で取り組むべき課題である」という信念のもと、私たちは地域の皆様に対し、積極的な参加を呼びかけています。減災教育を通じて、未来の安心した社会を育てていきたいと願っています。
NPO法人 減災教育普及協会の役割
我々、NPO法人減災教育普及協会は、災害対策において教育の重要性を認識し、活動しています。「想定外」にも対応できるように、正しい知識を広め、主体的に減災活動に取り組む人材の育成を目指しています。減災教育は、災害リスクを理解し、事前に準備を行うことで被害を軽減できることを証明する活動です。この新たな挑戦が、静岡県のみならず、全国へも広がることを期待しています。