岡山大学が羽成長を促進する新メカニズムを発見
岡山大学の研究チームが、ニワトリの初生雛を用いた研究により、プロラクチン(PRL)とインスリン様成長因子(IGF)、そして甲状腺ホルモン(T3)が協働して羽の成長を促進するメカニズムを解明しました。この成果は、2024年12月に国際比較内分泌学会連合の機関誌『General and Comparative Endocrinology』に掲載されています。
研究の背景
鳥類の換羽は、生存や繁殖において重要な役割を果たしています。これまでの研究では、プロラクチンや甲状腺ホルモンが換羽を促すホルモンとして知られ、IGFの関与も指摘されてきました。しかし、これらが羽毛の成長にどのように相互作用し合うかは、これまで明らかにされていませんでした。この研究では、初生雛と培養細胞を利用し、ホルモンの投与がどのように羽の成長に寄与するのかを検証しました。
研究の方法
研究チームは、RT-qPCRや免疫組織化学の手法を駆使し、ホルモンの投与後に羽包内での各ホルモンや、それに関連する酵素の発現がどのように変化するのかを詳細に分析しました。その結果、プロラクチンがIGFおよび甲状腺ホルモン活性化酵素(DIO2)の発現を促進し、IGFとT3が正のフィードバックループを形成することで羽細胞の迅速な増殖を実現する仕組みが明らかになりました。
研究成果の意義
この研究の結果は、羽の成長に関する理解を深め、長年未解明だった換羽のメカニズムに新たな光を当てることに繋がります。また、羽形成の制御メカニズムに関する知見は、ニワトリのみならず、他の鳥類における生態や繁殖行動の理解を促進することが期待されています。これは、鳥類研究や飼育、さらにはバイオテクノロジーなどの分野でも応用される可能性を秘めています。
夜明けの予感
この研究に参加した大学院生の野沢優里さんは、「学部生の頃から取り組んできた研究の成果を論文として発表できて嬉しい」と語ります。自宅で飼っている文鳥の換羽を見ていると、彼女の発見したメカニズムがどのように実際に働いているのかを考えずにはいられないそうです。
まとめ
岡山大学の研究チームのこの研究成果は、羽成長に関する理解を深め、今後の鳥類学の発展に大きく寄与することが期待されています。これらの新しい知見が、鳥類を含む生物学の様々な分野で更なる研究につながることが待たれます。