はじめに
近年、育児における父親の役割が注目されるようになってきました。そこで一般社団法人EVIDENCE STUDIO(エビスタ)は、独自の研究プロジェクトを通じて、職場での男性育児研修が家庭内に与える影響について調査しました。この研究の結果が、父親の育児参加促進と家庭での働き方にどのような影響を及ぼすのか、詳しく見ていきましょう。
研究の背景
日本では、父親に対する育児休業制度が整っているにもかかわらず、その取得率はなかなか伸び悩んでいます。その理由として多くの父親が挙げるのが、職場の雰囲気。育児休業が取得しづらいという意識が強いのです。
このような課題に直面している中で、エビスタは「制度ではなく、職場の文化や意識の変革が必要」と考え、東京大学の山口慎太郎教授をはじめとする研究チームに委託し、大規模なランダム化比較試験(RCT)を実施しました。
研究の方法
2023年8月から2024年3月までの間、民間企業2社と地方自治体2団体を対象に、1,200名以上の男性従業員を対象にした実験が行われました。参加者はランダムに2つのグループに分けられ、片方には育児参加に関する研修が行われました。
この研修では、育児とキャリアを両立する重要性について男性講師が講義。また、管理職向けには部下の育児休業取得を支援する方法が伝えられました。この他にも、「同僚が育児休業取得に賛成している」という情報提供を行い、この情報が実際の行動に影響を与えるかどうかも検証しました。
主要な結果
研究の結果、父親が受けた研修は家族全体に好影響をもたらすことが明らかになりました。
- - 研修を受けた父親は、週末の育児時間が1日あたり約1時間、16%増加しました。
- - また、研修を受けなかった母親の就業時間も週に約3.6時間増加し、家庭内の役割分担が見直される結果となりました。この傾向は特に5歳以下の子どもを持つ家庭で顕著でした。
- - 研修後、育児休業制度を自分で調べる参加者の割合も増加しました。
特に注目すべきは、情報提供によって「同僚も育児に賛成している」と認知したとしても実際の行動には結びつかないことが判明した点です。職場環境の意識改革が必要であることが示されました。
エビスタが果たした役割
この研究を成功に導くために、エビスタは次のような役割を果たしました。
1.
課題設定とテーマ選定 — 「男性の育児参加促進」を社会問題として特定。
2.
研究資金の提供 — 東京大学への委託事業に必要な資金を調達。
3.
参画組織の調整 — 研究に協力する企業や団体のネットワークを構築。
4.
研修の企画と運営 — 専門家と連携し、実効性ある研修プログラムを実現。
5.
全体のプロジェクトマネジメント — 倫理審査や進捗管理を統括しました。
まとめ
本研究は、男性の育児参加を促すための取り組みが、育児休業の取得率を高めるだけでなく、家庭全体の働き方に良い影響を与えることを示した重要な結果です。今後、少子化対策としても男性の育児参加が鍵となることが期待されます。
このような低コストで実施可能な研修が、家庭や職場の環境を変える一助となることを願っています。