岡山大学が描く「聞こえを支えるまち」の未来
2025年に向け、国立大学法人岡山大学は岡山市およびデマント・ジャパン株式会社と連携協定を締結しました。この取り組みは、加齢性難聴に対する正しい理解を促すことを目的としています。
地域一体となった新たな支援体制
「City for Better Hearing(聞こえを支えるまち)」の実現を目指し、協定の中で高齢者の生活の質(QOL)の向上と持続可能な地域社会の形成を目指します。具体的には、聴覚検診車「Audika GO」を使用してのスクリーニングや、難聴の患者への受診勧奨、補聴器に関する専門人材の育成や効果検証、さらには正しい情報の普及が含まれています。
先日行われた調印式には、岡山大学の那須保友学長、岡山市の大森雅夫市長、デマント・ジャパンの齋藤徹代表取締役社長が揃い、今後の展望に期待を寄せました。それぞれが持ち寄る専門知識と経験を活かし、地域での聴覚ケアを強化する意義深いプロジェクトとなるでしょう。
聴覚検診の重要性
加齢性難聴は社会問題として注目されており、未診断のまま過ごす人が多いのが現状です。この協定では、地域住民に対して早期発見・早期対応の重要性を浸透させるため、さまざまな施策が展開されます。
例えば、聴覚検診車「Audika GO」による各地での聴覚検診の実施や、デモンストレーションイベントを通じて、参加者々が実際に支援技術を体験する機会を設けています。このようにして、住民が自らの耳の健康について考えるきっかけを生むことが狙いです。
国際的な意義と地域の取り組み
また、トーマス・ホイルンド・クリステンセン公使参事官が調印式に出席し、北欧デンマークの進んだ補聴支援の事例に触れつつ、今後の国際的な連携の重要性も語りました。具体的な支援モデルの構築を進める中、国際社会との連携は、地域の取り組みに新たな視点を加えるでしょう。
岡山大学病院と協力した支援体制の構築
岡山大学内に設立された聴覚支援センターは、医療、福祉、教育の分野を横断した支援を行うことを目的としています。このセンターを拠点に、専門的な知識を持つスタッフによる総合的なサポートが提供されることが期待されます。さらに、文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に選ばれたことも、地域の健康を支える重要な一歩です。
未来に繋がる「聞こえ支援モデル」
この取り組みは「誰一人取り残さない」社会の実現を目指しており、岡山大学と地域が一体となって社会課題に対峙する姿勢が強調されています。今後、地域に根差した聞こえ支援の新たなしくみがどのように発展していくのか、ますます注目です。
岡山大学の取り組みは、地域社会そして国際的な視野を融合させた新たな支援モデルとして、広く期待されています。皆さんもこの動きにご注目ください。