新しい太陽電池の実証実験が神奈川で始まる
神奈川県相模原市の株式会社PXPは、日揮ホールディングス株式会社と手を組み、フィルム型カルコパイライト太陽電池を用いた発電実証実験を開始しました。この実験は横浜市内の屋根に設置された大面積モジュールを使用して行われ、次世代の新しい太陽電池技術の可能性を探ります。
カーボンニュートラルへの一歩
近年、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの拡充が急務とされています。その中で、薄膜太陽電池は特に注目を集めています。軽量で薄く、さらには曲がる特性を持つことから、その導入が進められているのです。薄膜太陽電池には、ペロブスカイト型とカルコパイライト型の2つがありますが、今回の実証実験では、後者に焦点が当てられています。
PXPの取り組み
PXPは2020年に設立されたスタートアップ企業で、国産のフィルム型次世代太陽電池の研究開発と量産化に取り組んでいます。特徴的なのは、ペロブスカイト太陽電池とカルコパイライト太陽電池を重ね合わせた「タンデム型」を目指しており、それによって高効率かつ軽量なモジュールとして実現することを目指しています。
実証実験の詳細
日揮の「シート工法」によって、薄膜太陽電池を一体化した発電モジュールが屋根に設置されています。この方式では、遮熱シートに薄膜太陽電池を載せることで、軽量でありながら固定が可能になるため、施工が容易になります。PXPと日揮によるこの試みは2023年4月から始まり、1年を目標に大面積のモジュールによる発電を実証します。
使用する発電モジュールは、電気的に接続された複数の薄膜太陽電池が基材シートの上に並べられ、面積は10平米に達します。このような大面積の薄膜太陽電池を用いた実証は国内初となります。
設置作業の効率化
今回の大面積モジュールは、工場や倉庫の屋根を想定した環境で施工され、軽量な特性を活かしながら設置作業の効率化にも寄与しています。1日の作業で、作業員一人当たり約100平米の施工が可能であることが確認されており、これにより設置の能率が大幅に向上しました。
未来のエネルギー社会
日揮は「どこでも発電所」というビジョンのもと、様々な屋根に太陽光エネルギーを利用することを目指しています。一方、PXPは「クリーンなエネルギーをいつでも、どこでも、誰でも自由に使える世界」を目指して、神奈川県内の企業と連携し初めての試みを実現させることで、薄膜太陽電池の迅速な社会実装を目指しています。
企業情報
日揮株式会社
- - 設立: 2019年10月1日
- - 本社: 神奈川県横浜市
- - 事業内容: EPC事業および保全事業
株式会社PXP
- - 設立: 2020年7月4日
- - 本社: 神奈川県相模原市
- - 事業内容: 次世代太陽電池の研究開発・製造・販売
この前例のない実証実験を通じて、今後の再生可能エネルギーの利用拡大が期待されます。