新たな素材開発技術への挑戦
近年、製造業ではデジタル化が求められる一方で、化学品の研究開発分野では情報の機密性から企業間でのデータの連携が難しいという課題が存在します。この課題を克服するために、pluszero、EAGLYS、三井物産ケミカルの三社が手を組み、化学品業界向けにマテリアルズインフォマティクス(MI)の技術開発と導入を進めることに合意しました。
プロジェクトの背景と目的
製造業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する中、化学品材料の開発には欠かせないプロセスの効率化が必要とされています。特に、情報の機密性が高いため、部門間や企業間でのデータ連携が阻害され、開発時間が無駄に長引くことが多く見受けられます。本プロジェクトでは、三社が自らの強みを活かし、秘匿性を維持しながらデータを相互に活用する方法を模索し、MI技術の実装を加速することで新たな開発プロセスを構築します。
取り組みの概要
1. データ整備と連携の強化
EAGLYSが提供する"ALCHEMISTA LABS"を活用し、データを整理・統合できる仕組みを構築します。このシステムにより、データを安全に連携させることが可能となるため、企業間の協力が促進され、研究開発の現場でのデータ活用が進みます。
2. 高度なAIを活用したMI技術の提供
pluszeroは、暗号空間上で動作するデータ分析技術を開発し、MI技術を提供します。この技術により、データ駆動の材料開発が実現し、開発スピードの向上に寄与します。
3. 商流構築と市場展開
三井物産ケミカルとそのグループが持つ顧客基盤を活かして、EAGLYSとpluszeroが展開するMI推進サービスを業界に広めます。これにより、より多くの企業がこの新しい技術を活用できるようになるでしょう。
期待される効果
本プロジェクトにより、いくつかの重要な効果が期待されています。
- - リードタイムとコストの削減: 業界のデータ整備や分析のプロセスが効率化されることで、研究開発にかかる時間やコストが大幅に削減されます。
- - 材料開発の加速: より高度なデータ連携が実現することで、研究者のリソースを有効利用でき、革新が促進されます。
- - データ駆動型開発の拡大: MI技術の普及が促進されることで、化学品業界だけでなく、他の業界でもデータ駆動型の研究開発が浸透していくことが期待されています。
この取り組みを通じて、製造業におけるDXを進行させ、効率的な材料開発の実現に向けて三社は連携し、これからも挑戦を続けていく所存です。また、この内容は化学工業日報社によって取り上げられ、2025年3月13日の朝刊に掲載される予定です。