大腸がん予防に革新をもたらす新技術
はじめに
2025年3月15日、岡山大学が大腸がん予防に関する新しい内視鏡診断法を発表しました。この革新的な技術は、大腸ポリープの検出率を向上させることを目的としており、特に予後不良な右側大腸がんの早期発見に寄与する可能性があります。
新しい診断法の概要
岡山大学病院の消化器内科に所属する衣笠秀明助教は、愛媛や広島、香川、兵庫、愛知、山口、岡山、津山の病院と共同で、酢酸とインジゴカルミンを混合した液体を用いた観察法を開発しました。この手法は、従来の内視鏡観察法に比べて大腸ポリープの発見率が有意に高いことが確認されています。
特に、右側大腸がんは症状が表れにくく、早期発見が難しいため、今回の研究結果は非常に重要です。平坦なポリープを見つけることが可能になったことで、患者の早期治療につながると期待されています。
研究成果の公表
この研究結果は、2025年3月13日に米国の消化器病学雑誌『American Journal of Gastroenterology』に掲載されました。右側大腸がんの罹患率や死亡率は依然として高いため、適切なスクリーニングが求められています。実際、右側大腸がんに関連するポリープを早期に検出できる新手法の開発は、今後の重要な課題と言えるでしょう。
衣笠助教のコメント
衣笠助教は、「この方法は特別な機器や技術を必要としないため、どの医療施設でも取り入れることが可能です。今後、この手法が大腸内視鏡診療のスタンダードになることを希望しています」と語っています。これは、医療機関間のバリアを低くし、広く普及することが期待されます。
研究資金と今後の展望
本研究は、日本学術振興会による科学研究費助成などの支援を受けて実施されました。この新しい内視鏡診断法は、特に医療現場での応用が進むことで、より多くの人々が大腸がんから守られることが期待されています。
大腸がんに対する理解と対応が進む中で、岡山大学の研究は今後さらに注目されるでしょう。新たな内視鏡診断法が、体制の整った医療現場での活用を進め、多くの患者を救う手立てとなることを願っています。