住友化学とJFEエンジニアリングの先進的CO2回収実証試験
住友化学株式会社とJFEエンジニアリング株式会社は、環境保護と持続可能な社会の実現を目指し、川崎市にあるごみ焼却処理施設「川崎市浮島処理センター」で、膜分離法を用いたCO2の分離回収に関する実証試験を行うことを発表しました。この試験は、2025年8月19日に発表された内容に基づき、2026年3月から実施される予定です。
先進技術によるカーボンニュートラルの実現に向けて
この取り組みは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める「グリーンイノベーション基金事業」の一環であり、特に重要な一歩とされています。カーボンニュートラルの達成に向けて、発電所や産業からのCO2分離技術のニーズが高まっている中、住友化学は小型化と低コスト化を目指した技術開発を進めてきました。
住友化学は、株式会社OOYOOとの協力を通じて、膜技術を用いた低エネルギーかつ低コストでのCO2分離回収の実現を目指しています。実機サイズの膜エレメントやその組み合わせによるモジュールを製造することに成功しており、この先進的な技術が川崎市のごみ焼却処理施設でどのように展開されるかが注目されています。
JFEエンジニアリングの役割と期待
一方、JFEエンジニアリングは、この実証試験において、詳細設計を担当し、CO2分離回収システムを組み込む試験設備の設計、設置、運用を行います。同社は、これまでに国内外で200カ所以上のごみ焼却処理施設を手掛けており、その豊富な経験が活かされるでしょう。
住友化学の常務執行役員である辻純平氏は、2030年、2050年に向けたカーボンニュートラル社会の実現に向けて、広範な分野でのCO2分離回収技術の実装が期待されていると コメントしました。また、この実証試験が、低圧かつ低濃度のCO2分離回収を安価に実現するための重要なステップになることを強調しています。
地域におけるごみ焼却施設の新たな価値
JFEエンジニアリングの常務執行役員、保延和義氏は、同社が「CCU-Ready Plant」機能を融合させることで、ごみ焼却処理施設の存在価値を高めるために努力を続けると述べています。地域に根差したごみ処理施設が新たなエネルギー提供源として機能することで、持続可能性が向上することが期待されます。
まとめ
この実証試験は、今後のカーボンニュートラル技術の発展において重要な意味を持つものと考えられます。住友化学とJFEエンジニアリングのコラボレーションにより、川崎市で行われるCO2回収技術の進展が、他の地域にも波及し、持続可能な社会の実現に寄与することを期待しています。これからの進展を注視していきましょう。