岡山大学のコロナ・アフターケア外来、5年間の歩み
国立大学法人岡山大学は、2021年2月に国内の総合病院としては全国で2番目に「コロナ・アフターケア外来」を開設しました。開設から5年が経過し、これまでに約1,300人の患者を診療し、臨床データの収集とともに、後遺症に関する研究を行ってきました。
初めの頃は新型コロナウイルスの急性期対応に追われ、後遺症の全貌は不明確でした。その中で、診療チームは患者との対面診療を通じて、症状の多様性や感染した変異株による影響を観察してきました。これにより、コロナ後遺症のリスク因子や予後についても重要な知見が得られるようになりました。
コロナ後遺症の多様な症状と研究結果
開設以来、岡山大学病院では筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)や体位性頻脈症候群(POTS)との関連を探るなど、多角的な観点からコロナ後遺症の理解を深めています。また、酸化ストレス指標を用いて病態の可視化を試みており、これは実臨床の視点から非常に重要です。
大塚文男教授は、対面診療の中で患者が抱える孤立感や身体的・精神的な苦痛に耳を傾けることが重要であると強調しています。コロナ後遺症は単一の臓器障害だけでは説明できない複雑さがあるため、クライアントの全体像を理解することが医療提供者に求められています。
研究と診療の融合による医療モデルの確立
岡山大学の取り組みは、単に個別の患者を診療するだけでなく、地域全体に貢献する医療モデルの構築を目指しています。この5年間で得られた知見は、他の医療機関との情報交換を通じて地域全体の医療向上に寄与していく意義も持っています。
特に、長期にわたる患者ケアが求められる現状を踏まえ、県外の後遺症診療施設との連携も強化されています。これにより、患者一人ひとりに寄り添った医療提供が可能になるだけでなく、全体としての医療システムの向上にもつながるでしょう。
まとめ
5年間の診療実績を経て、岡山大学のコロナ・アフターケア外来は、コロナ後遺症の問題に正面から取り組むことで、より多くの患者に質の高い医療を提供できる体制を整えてきました。この活動は今後の医療の在り方にも影響を及ぼし、他の地域でも同様のモデルが採用されることが期待されます。感染症の影響が続く中で、地域における医療の支え合いを重視する岡山大学の姿勢は、多くの人々に希望を与えるものとなるはずです。