岡山大学病院で国吉康雄のアートが彩る「癒しの空間」
岡山市北区に位置する国立の岡山大学病院が、新たに特別なアート展示を始めました。そこには、日本が誇る洋画家であり社会活動家としても知られる国吉康雄(1889~1953)の模写作品が並んでいます。この展示は、岡山大学大学院教育学研究科が提供し、「国吉講座」が中心となって推進されたものです。
アートが生み出す癒やしの空間
国吉康雄模写作品の展示は、総合診療棟の1階に設置され、来院される方々に新たな癒しの体験をもたらしています。病院内のホスピタルアートという取り組みの一環として、アートは患者や職員にとって、視覚的な楽しみだけでなく、精神的な安らぎも提供する重要な要素です。
展示されている作品は、国吉康雄が実際に使用した画材を使い、実寸大で模写されたものです。これは、広島市立大学や筑波大学で技術を磨く学生たちの協力により実現したもので、選ばれたのは国吉が生み出した豊かな色彩を忠実に再現するための挑戦でした。
進化する展示内容
展示内容には国吉が生涯の中で挑んださまざまな絵画作品が含まれています。「少女よ、お前の命のために走れ」というカゼイン画の制作過程も紹介され、絵の具の薄い層が作り出す色の微妙な変化も感じ取れるようになっています。同じく「ミスターエース」といった油彩画の優れた作品や、最後の自画像「制作中」も見逃せません。
また、岡山大学の5D Lab.が展示の発展に寄与し、地域と連携した文化創生の姿勢を反映したスペースが形成されました。今後は、岡山大学附属図書館などを経て半年ごとのテーマで展示内容が刷新されていく予定です。
地域との結びつき
この展示は、単なるアートの公開にとどまらず、地域との関係を深める試みでもあります。岡山大学とその周辺地域が一体となり、文化的な活気を生み出すことが目的です。国吉講座の教員と有志学生たちが熱心に協力し、アートを通じて地域に根ざした活動を展開しています。
今後の展望
岡山大学病院は、これからもホスピタルアートを取り入れ、より優しい環境づくりを継続していくことを宣言しています。この取り組みは、患者に対する配慮と、医療の質の向上を目指したものであり、地域の文化創生へとつながる重要な一歩です。
地域一丸となって進められる「国吉祭2024」にも期待が寄せられ、岡山大学病院ならではのアートがもたらす新しい風景が楽しみです。どうぞ、皆様も岡山大学病院でのアート体験をお楽しみください。今後も地域とのつながりを大切にし、患者さんに優しい医療環境の実現に寄与していくことが期待されています。