岡山大学におけるロボット支援膵切除術の研究
岡山大学病院肝・胆・膵・外科では、2020年からロボット支援膵切除術を導入し、特に高齢者への適用について研究を進めています。この度、岡山大学と藤田医科大学の共同研究により、高齢者に対するこの手術の有効性と安全性が確認され、2025年9月に欧州のがん関連学術誌「Cancers」にその成果が掲載されました。
高齢化社会と手術の課題
日本は高齢化が進んでおり、肝胆膵外科領域でも高齢患者が増加しています。特に膵臓手術は高い侵襲性があり、基礎疾患をもつ高齢者に対しては慎重な判断が求められます。岡山大学病院では、2020年4月から2024年12月の間に350件以上のロボット支援膵切除術が行われ、そのうち15.5%にあたる59人が80歳以上の高齢者でした。
成果と研究結果
研究の結果、高齢者患者の術後の入院期間は長いものの、合併症の発生率は青年層と同等であることが判明しました。このことは、ロボット支援手術が高齢者に対しても安全に行える可能性を示しており、低侵襲で合併症が少ない手術法の利点が浮き彫りになりました。また、受ける手術の適応を慎重に判断することが今後の課題となります。そのため、研究者たちは患者の安全を最優先に、さらなる治療成績の向上を目指しています。
高木弘誠講師のコメント
「高齢患者はますます増加しており、適切な手術の判断がこれまで以上に重要です。今回の研究結果は、ロボット支援膵切除術が高齢者にも適用できることを証明しました。今後も安全で合併症の少ない手術を提供し、より良い治療成績を目指して努力していきます」と高木弘誠講師は述べています。
まとめ
岡山大学が行ったこの研究は、ロボット支援手術の可能性を広げ、高齢者医療における新たな選択肢を提供するものです。今後のさらなる研究と実践が待たれる中、医療の進展が地域社会にどのように影響を与えるのか、注目が集まります。また、ロボット支援手術の普及が、治療成果の向上につながることが期待されます。