脂肪代謝の新発見
2025-05-29 05:38:31

岡山大学がテラヘルツ波で脂肪代謝新メカニズムを発見

岡山大学が明らかにした脂肪代謝の新メカニズム



近年、岡山大学の王璡准教授を中心とした研究チームが、中国の厦門大学附属病院との国際共同研究を通じて、テラヘルツ波ケミカル顕微鏡(TCM)を活用した新しい脂肪代謝メカニズムの解明に成功しました。この成果は2025年4月28日、科学雑誌『Theranostics』に掲載された科学的研究の一環です。

研究の概要


研究では、天然由来の小分子化合物「エスクレチン」が、脂肪組織マクロファージ(ATM)の食後脂質処理を促進する新たなメカニズムを解明しました。具体的には、エスクレチンが転写因子C/EBPβに結合し、スカベンジャー受容体CD36の発現を高め、ATMによる食後脂質の貪食作用を促進することが発見されました。これにより、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールの生成が促進され、胆汁酸の排泄が活性化されることによって、食後の血中脂質クリアランスが加速されます。

テラヘルツ波ケミカル顕微鏡の新たな応用


本研究の大きな特長は、TCMを用いた分子レベルでの相互作用の観察です。TCMはこれまで主にテラヘルツセンサー分野で利用されてきましたが、今回の研究では病理研究においてもその有効性が示されました。この技術を使用して、エスクレチンとC/EBPβの直接結合を非侵襲的に観察することに成功しました。従来の技術では捉えきれなかった薬剤と転写因子間の相互作用の可視化に成功し、新たな知見を得ることができました。

新しい脂肪組織マクロファージの役割


王准教授は、今回の研究成果が脂肪を単に“ためる”だけでなく、脂肪組織マクロファージが脂肪を“処理する”役割に関する理解を深めるものだと述べています。テラヘルツ波の技術を駆使したことで、分子間相互作用の可視化が進み、食後代謝を制御する新しいメカニズムの発見につながったと考えています。

論文情報


この研究は「A small molecule esculetin accelerates postprandial lipid clearance involving activation of C/EBPβ and CD36-mediated phagocytosis by adipose tissue macrophages」というタイトルで、Theranosticsに掲載されました。

まとめ


今回の岡山大学の研究は、脂肪代謝に関する新たな知見を提供し、今後の医療や健康の分野における可能性を示唆しています。研究が進むことで、肥満や脂質異常症の治療に向けた新しいアプローチが期待されます。


画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8

関連リンク

サードペディア百科事典: 岡山大学 テラヘルツ波 エスクレチン

トピックス(その他)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。