進化の新指標
2025-10-12 23:27:26

岡山大学が示した生物進化の新たな指標:ウリミバエの研究成果

岡山大学が示した生物進化の新たな指標



国立大学法人岡山大学の宮竹貴久教授と東京大学の松村健太郎助教による新たな研究成果が、2025年10月にオンライン発表されました。この研究は、特殊害虫に指定されているウリミバエ(Zeugodacus cucurbitae)を用いて、発育のスピードと繁殖のタイミングが進化にどのような影響を与えるかを探りました。

発育速度と繁殖のタイミングを探る



ウリミバエの生活史形質に対して人為的選抜を行い、選抜された系統から得た卵を用いて、異なる温度条件下での幼虫期間と発育期間を調査しました。その結果、発育ゼロ点と有効積算温度が集団間で有意に異なることが確認されました。具体的には、発育期間の長い集団と短い集団では、発育に必要な温度も異なることが示されたのです。

また、繁殖開始年齢においても異なる集団同士で有意な差が見られました。これにより、生活史形質に選択圧がかかると、世代を経てこれらの指標が変化することが初めて実証されたのです。

研究の意義とさらなる課題



この研究成果は、地球温暖化や外来生物の侵入が進む中で、農業や生態系に与える影響を予測する上で重要なデータとなります。生物がどのように進化し、どこまで分布を広げるのかを理解することは、今後のダイナミックな環境変化に適応するために欠かせない知見です。

宮竹教授は「地道なデータ収集が生態系の理解に不可欠」と述べ、スマート化と効率化だけでなく、従来の方法による知見の蓄積も必要であることを強調しました。これにより、外来生物の管理や生物多様性の保全に寄与することが期待されています。

公表と今後の展望



本研究は、Wileyの国際昆虫学会誌『Entomologia Experimentalis et Applicata』に掲載されており、今後もさらなる研究が進められる予定です。ウリミバエの生態や進化に関する知見は、農業や生態系における害虫管理の新たな指針となることが期待されています。

参考文献


  • - 論文名:Artificial selections for life history traits affect effective cumulative temperature and developmental zero point in Zeugoducus cucurbitae
  • - 論文掲載先:Entomologia Experimentalis et Applicata
  • - 研究資金:JSPS科研費JP25K09771の助成

この研究成果は、岡山大学の昆虫生態学研究室で培われた知識と技術の集大成であり、地域の生物多様性を兼ね備えた持続可能な社会の構築に向けた一歩となります。今後の研究展開にも注目です。


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