岡山大学が膵臓がん治療の新たな光！術前化学療法で生存率向上

岡山大学が切除可能な膵臓がん治療の新たな前進

近年、膵臓がんの増加が問題視されており、早期発見と適切な治療が求められています。そうした中、国立大学法人岡山大学が新たな治療法として術前化学療法「gemcitabine + S-1（GS療法）」を導入したことが報告されています。これは、切除可能な膵臓がんに対して、手術の前に行う化学療法で、これまでの治療法に比べて著しい生存率の向上を実証しました。

新たな治療の導入とその効果

岡山大学病院では2019年から、膵臓がんに対する新たなアプローチとしてGS療法を開始しました。この治療法の導入以降、約90%の患者が術前治療を完了し、同大学が行った研究によれば、術前化学療法を受けた患者の2年全生存率は83%に達するとされています。一方、従来の手術先行治療群では61%と、著しい改善が見られました。

この研究成果は、2025年10月に欧州がん関連研究の専門誌『Cancers』に掲載されたことからも、国際的にも注目されています。結果が示すように、術前化学療法は切除可能な膵臓がん患者にとって非常に有効であることが確認され、安全性も実証されました。

研究チームの協力と貢献

この研究は、岡山大学病院の肝・胆・膵外科と消化器内科が連携して作成した合同プロトコールに基づいて行われました。主導したのは、高木弘誠講師や安井和也助教、松本和幸講師などの医療チームで、彼らの協力があってこそ得られた成果です。

高木講師は「膵臓がんは近年増加傾向にありますが、術前化学療法の安全性と有効性を確立できたことは大きな進展です。合併症の少ない手術と術後補助療法の重要性も改めて確認しました」と語ります。今後は、さらに治療成績の改善に向けて努力を続ける意向を示しました。

まとめ

今回の研究結果は、膵臓がんに対する従来の治療法に対する大きな一歩となります。術前化学療法の導入が、患者にとっての生存率向上につながることを示唆する成果に、専門家たちの期待が高まっています。これにより、膵臓がん治療に新たな選択肢が加わり、患者やその家族にとって希望の光となることが期待されます。今後も岡山大学の研究が進展し、地域社会のみならず、全世界の治療に貢献していくことを願うばかりです。