業務効率化は個人の努力だけでは限界がある
企業における業務効率化が求められる中、実際に会社員たちはどのような工夫をしているのでしょうか? 近年、NSSスマートコンサルティング株式会社が実施した調査によると、20〜50代の会社員の約8割が、「業務効率化には個人の努力だけでは限界がある」と実感しています。この調査結果をもとに、業務効率化の現状と、標準化の必要性について考えていきます。
実践される効率化テクニック
調査では、「業務を効率化するために実践していること」として最も多かったのは『業務の優先順位づけ・ToDo整理』でした(56.1%)。この結果から、多くの社員がまずは自分の業務を整理し、何を最優先に取り組むべきかを考えていることが伺えます。次に多かったのが『時間管理ツールやタスクリストの活用』で、視覚的にタスクを整理する方法が好まれているようです。
一方でAIツールの活用や自動化はまだ普及途上であり、約2割の社員たちが導入している現状です。この背景には「導入コスト」や「業務特性とのミスマッチ」があることが考えられます。
効率化の効果を実感している社員たち
次に、個々の工夫によってどの程度効率化が進んでいるかについて尋ねたところ、約8割の社員が『とても効率化できている』(13.0%)または『ある程度効率化できている』(68.3%)と感じていることが分かりました。しかし、全員がそうではなく、『あまり効率化できていない』『全く効率化できていない』と答えた社員も一定数おり、業種や職場環境による影響が大きいと考えられます。
限界を感じる要因と組織の役割
調査の中で、個人の努力だけでは業務効率化に限界があると感じる理由を挙げた社員たちの意見も興味深いものでした。多くの社員が『ノウハウの属人化』『業務の過重』『業務の手法がバラバラ』といった問題点を指摘しています。
さらに、約8割が「会社が業務効率化を従業員任せにしている」と感じていることも明らかとなりました。これにより、仕事を効率化するための責任が個人にのしかかり、業務改善の持続性が損なわれる可能性が示唆されています。
標準化の重要性
そこで、業務効率化を進めていくためには「標準化」が不可欠であるとの声が多く寄せられています。実際、調査の結果からも約8割の社員が業務の標準化を「とても必要」と回答しました。 これは、トラブルやミスの防止、プロジェクトを横断する業務の円滑化、そして新人教育の効率化にとって非常に重要であると認識されているからです。
求められる施策
具体的には、業務フローのマニュアル化や手順書の作成、業務プロセスの可視化といった「見える化」の取り組みが急務です。また、組織全体での協力体制を構築するためには、ルールや規程の整備も欠かせません。
ISO9001のようなマネジメント系の規格を導入することは、業務の質と効率を継続的に改善するための有力な手段でもあります。ISOの規格は業務手順の文書化、プロセスの明確化を促進し、全体のプロセスがどう運用されるかを明示し、実践的な支援を提供します。
まとめ
業務効率化について、個々の工夫が一定の効果をもたらしている一方で、標準化の必要性も高まっています。企業としての取り組みが強化されなければ、業務の効率化は個人の努力だけでは実現しづらいのが現状です。今後、業務の標準化や仕組み化に取り組むことで、業務の持続的な成長につながると考えられます。ISOの導入や活用は、そのための重要な一歩となるでしょう。